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20年前に“消えたアイドル騎手”小田部雪は今の女性ジョッキーをどう見る?「みんな化粧して時代は変わったなあと」「今村聖奈騎手は佐賀に来た時…」
text by
大恵陽子Yoko Oe
photograph byTakuya Sugiyama
posted2022/10/30 17:04
約20年間、競馬とは距離を置き一般企業に務めてきたが、今年7月から競馬新聞「馬物語」で予想家としてデビュー。異例の転身の裏には過去の経験から抱いた思いがあった
――今年はJRAの今村聖奈騎手が重賞初騎乗初制覇を果たすなど、大活躍を見せています。
小田部 今村騎手は8月にJRA交流レースで佐賀競馬場に乗りに来た時、事前に馬場を歩いて確認をしていましたね。私はそんなことしたことなかったです。レースは2着で惜しかったですけど、がんばってほしいなと思います。
ミカエル・ミシェル騎手もJRAの騎手免許試験を受けて、残念ながら一次試験は不合格だったようですけど、将来的にもしも受かればさらに盛り上がると思います。いまは女性騎手がいることが前提で、活躍するのも当たり前の時代。競馬場に行かなくてもインターネットやSNSを使っていろんな形で応援ができるようになったと思います。
私の時代なら直接「なにやってんだよ!」で終わりだったけど…
――女性騎手を取り巻く環境の変化は感じますか?
小田部 これは女性騎手に限らずですけど、SNSなど見えない空間で誹謗中傷をされることがあって、大変だと思います。騎手は負けることの方が多い職業で、人気に推されながらも負けてしまった時、私の時代なら次のレースの本馬場入場で「なにやってんだよ!」と言われることはあってもそれで終わりでした。でも、いまはそうじゃないですもんね。他競技の選手で、大事なレースで負けてしまった後、SNSに「すみません」と書いていて、なんだか可哀そうだなと感じました。
――メンタルの保ち方も時代と共に変わっているんでしょうね。ルールも変わりました。これまで小田部さんをはじめ多くの女性騎手が道をつくってきたおかげで、女性のジョッキーも増え、女性騎手はデビュー時に4kg軽い斤量で騎乗できる制度もできました。もしこの条件で再デビューできると言われたら、乗りたいですか?
小田部 いまはちょっとね、体重が(苦笑)。でも、もう1回乗ってみたいとは思います。ゴリゴリにっていうよりも、そろそろ~っとでいいから後ろの方をついていきたいですね。あ、誘導馬に乗るのもいいかもしれませんね。