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「生理になると、先頭で逃げたくない…」25歳で突如引退、大分のアイドルジョッキーが直面していた“性差”「競馬場では男子トイレを使っていました」
text by
大恵陽子Yoko Oe
photograph byTakuya Sugiyama
posted2022/10/30 17:02
20年前の2002年、25歳で突如引退し、競馬の世界から姿を消した小田部雪さん。アイドル的な人気を博した現役当時の話を聞いた
引退すると、生理周期も正常になった
――女性は生理もありますからね。
小田部 現役時代は2週間とか平気で遅れていました。生理痛もひどくて、薬を飲んで乗ったり、本当にひどい時は薬を飲んでも収まらなくて休んでいました。「生理痛くらいで」という時代ではありましたけど、しょうがないですよね。当時は特に減量もしていなかったので標準的な体重だと思っていましたけど、引退して少し増えると生理周期も正常になって、生理痛からも解放されました。子供を産んだこともあるかもしれないですけど、ハードな仕事だったのかな、と今になって思います。
――生理の悩みは他の女性騎手からも聞きます。
小田部 レースの日に生理になると、実はあんまり先頭で逃げたくなかったです。だって、騎乗姿勢を取っていると後ろにいる騎手にお尻を向けることになるし、ズボンは白だし、漏れるんじゃないかと気になりますよね。なるべく小まめにナプキンを取り替えていましたけど、男子トイレでベリッて音をさせるのも気になりました。
――ナプキンをはがす音、すごく気を使いますよね。トイレや生理など女性特有の問題で引退したいと思ったことはありましたか?
小田部 それはなかったです。毎月、苦しいものだと思っていましたし、不便だけど慣れるしかないと思っていました。
〈#2、#3へ続く〉
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