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ボクシング拳坤一擲BACK NUMBER
K-1王者からボクシング界の頂点へ…武居由樹をハードに育て上げた“古川会長の教え”とは「小学校の友達に『全然違う人だね』と(笑)」
text by
渋谷淳Jun Shibuya
photograph byWataru Sato
posted2022/10/25 17:00
K-1王者からボクシングに転向し、5戦5勝(5KO)という完璧な戦績で東洋太平洋王者となった武居由樹。近い将来の世界挑戦も視野に入れる
「尚弥さんの試合」がボクシング転向のきっかけに
――ボクシングのデビュー戦から1年半が経ちました。あらためて武居選手がボクシングに転向した理由を伺えれば。
いろいろあるんですけど、やっぱり一番は挑戦したい気持ちが大きかった。K-1ではチャンピオンにもなって、やりきったという気持ちがありました。2階級制覇、3階級制覇というのも考えてはみたんですけど、当時は1階級上のチャンピオンが同門というのもありましたし……。
――K-1で残された道は複数階級制覇しかなかったと。
そうですね。あと、高校時代にアマチュアボクシングをやっていたんですけど、その時にあまり結果を残せなかった。20戦くらいして勝ちと負けが半々くらいだったと思います。それでボクシングにリベンジしたいという気持ちもありました。もう一つ、(井上)尚弥さんとノニト・ドネアの第1戦(2019年11月)を見て、すごい盛り上がりで「ボクシングっていいな」と思ったこともきっかけになりました。
――そういったいろいろな思いがボクシング転向に踏み切らせたというわけですね。
K-1の最後の試合が終わったあと、キックボクサー時代に所属していたPOWER OF DREAMの古川誠一会長からも言われたんです。「お前もうボクシングに行くといいよ」って。
――古川会長は武居選手の思いを知っていた?
いや、知らないんですけど、もともと古川会長はボクシングジムでトレーナーをしていた人で、僕をボクサーにしたかったみたいなんです。最初にキックをやっていて高校でボクシング部に入ったのも古川会長の勧めでした。小学生から中学生まで基本はキックなんですけど、ボクシングのスパーリング大会に出たこともありました。
――それでも、高校卒業後はキックボクサーとしてプロになりました。
高校3年のボクシングのインターハイ予選で失格負けしたんです。ムエタイの試合を見ていた影響で首相撲が頭にあったのか、相手を投げてしまって。それで「次はどうしよう、キックかボクシングか……」と悩んでいたとき、同じくらいの年の子がキックでプロデビューしたのを見て「かっこいいな」と。それがきっかけになりました。