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ボクシング拳坤一擲BACK NUMBER
K-1王者からボクシング界の頂点へ…武居由樹をハードに育て上げた“古川会長の教え”とは「小学校の友達に『全然違う人だね』と(笑)」
text by
渋谷淳Jun Shibuya
photograph byWataru Sato
posted2022/10/25 17:00
K-1王者からボクシングに転向し、5戦5勝(5KO)という完璧な戦績で東洋太平洋王者となった武居由樹。近い将来の世界挑戦も視野に入れる
父親代わりの“会長の家”で育った少年時代
――先ほどから話に出てくる古川会長ですが、武居選手にとっては師匠であり、父親のような存在でもあると聞いています。
自分は母子家庭で生まれて、小さいころは母親の言うことをまったく聞かず、困らせていたんです。それで母親がいろいろ相談したら古川会長を紹介されたそうです。古川会長はそういう子どもの面倒も見ていたので。
――それで古川会長の自宅に住むようになった?
小学校4、5年生のころです。最初は自宅からPOWER OF DREAMに通っていました。でも、練習をさぼるようになって、これじゃあダメだということで、会長に引き取られるような形になりました。
――そうやって古川会長の家に住み込み、キックボクサーとしての人生が始まったということですね。
キックボクシングにもボクシングにも興味はなかったし、子どものころは正直嫌々やっていたという感じです(笑)。門限とかもあって生活は厳しかったですね。朝練やって、学校が終わってからはジムで練習して。友達に誘われても遊びにも行けず、そのうち誘われなくなった。やめたいと思ったこともありました。それでも、なんとなく流されながら続けていた感じですね。
――古川会長の自宅には武居選手1人が泊まり込んでいたのでしょうか?
いや、少ししたら2つ下の子が入ってきたり、夏休みの間は別の子がいたり、プロの選手が入ってきたりで、1人ということはなかったです。合宿所のような感じで、人数が多いときは雑魚寝みたいな。会長に反抗したことはないですけど、中学生のころは会長の奥さんに反抗してすごく怒られたこともあります。あのころはたぶん、問題児だったので……。
――いまの礼儀正しい武居選手からは想像がつかないですね。徐々に心を入れ替えていった?
そうなんだと思います。小学校の友達に会うと「全然違う人だね」と言われます(笑)。