草茂みベースボールの道白しBACK NUMBER
2度のクーデターに相次ぐ襲撃、政情不安のブルキナファソになぜ? 中日・小笠原慎之介が野球不毛の地に道具を送った理由「僕は子供の頃から…」
text by
小西斗真Toma Konishi
photograph byIchisei Hiramatsu
posted2022/10/22 06:00
今季プロ7年目で初の二桁勝利を挙げた小笠原。チャリティー活動への思いは真剣そのものだ
今シーズン、小笠原がブルキナファソの野球選手を前に投げた試合がある。7月19日のDeNA戦(バンテリンドーム)。6回途中、9安打を浴びながらも2失点で踏ん張って4勝目を挙げた。北海道ベースボールリーグの富良野ブルーリッジのカファンド・アミール選手が観戦していた。
「日程があらかじめ決まっていて、たまたま自分の登板日になったんです。だから会って話すことはできなかった代わりに、投げているところを見せることができました」
用具は高く、まだ知識も乏しい。来年春には同国初の専用球場が、首都のワガドゥグに建設予定だが、ブルキナファソは政情が極めて不安定な国としても知られている。9月末には今年に入って2度目のクーデターが起こった。新旧いずれも軍事政権であり、同国ではかねてよりイスラム過激派の勢力が伸張しており、治安は悪化している。
あえて不毛の地に野球の種を
「スポーツは平和があってこそだということはよくわかります。安心して生活でき、野球を楽しめる国になってほしい。本当にそう思います」
笑顔で白球を追うブルキナファソの人たちの映像が届く。あえて不毛の地に野球の種をまいた小笠原も、そんな日が来ることを祈っている。
記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。