今季に関して心強いのは、新たに得たばかりの伴侶も渡邊の立場、その時々で必要な言葉や姿勢を理解してくれているらしいことだ。

　今オフ、なかなか思うような契約オファーが得られなかった渡邊は、今後について悩み、ネッツからのキャンプオファーを承諾するより、まずはGリーグ（マイナーリーグ）でやり直すことを真剣に考えていたという。そんなとき、NBAへの挑戦を続けるきっかけの1つになったのは、5月に入籍したばかりの暁子夫人のこんな言葉だった。

「今までやってきたことをここでやめていいの？」

　どれだけ意思が強い人間でも、時にパートナーからのひと言がアクセルの代わりになるもの。それと同時に、その姿勢がギアアップの原動力にもなる。依然として安堵できる立ち位置には程遠いことを理解してか、暁子夫人は開幕ロースター入りを果たしたという渡邊の言葉を聞いても必要以上に歓喜はしなかったのだという。

「（ロースター入りを伝えても）なんか結構、しらーっとしてました（笑）。もちろんすごい喜んではくれたんですけど、これで僕が満足していないっていうのもわかってくれてますし、ここからまだまだ続くっていうのも理解してくれています。だからあまりオーバーリアクションはなくて、それは良かったなと思っています」

　ネッツの開幕ロースター入りはもちろん大きな一歩だが、新天地でのはじめの一歩でしかない。渡邊夫妻が重々理解している通り、さらに厳しく、それでいて楽しみな戦いはまだまだこれから。

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　新たな機会を求めた者が集まることから“セカンドチャンスの街”とも称されるニューヨークで、背番号18がどんなストーリーを紡いでいくかを、もうしばらく楽しみにしておきたい。