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「ブルックリンで家探しを始めます」渡邊雄太28歳、NBAネッツで始まる新たなニューヨーク物語…支えになった暁子夫人の言葉とは?
text by
杉浦大介Daisuke Sugiura
photograph byGetty Images
posted2022/10/19 17:03
ブルックリン・ネッツで開幕ロースター入りを勝ち取り、新シーズンに臨む渡邊雄太(28歳)。日本時間20日朝にペリカンズとの開幕戦に臨む
今秋の渡邊はプレシーズンで持ち味を存分に発揮し、実はかなり早い段階からロースター入りは有力視されていた。
10月3日のフィラデルフィア・76ers戦では10得点、4リバウンド、6日のマイアミ・ヒート戦では3得点、4リバウンド、2ブロックを挙げ、同時に数字に残らないディフェンスでも奮闘する。さらに12日のミルウォーキー・バックス戦では3Pを2本決め、約11分間で6得点、1スティール、1アシスト。プレシーズン最終戦となった14日のミネソタ・ティンバーウルブズ戦でも約11分で4得点を挙げ、充実の4試合を締め括った。
6、12、14日のゲームではいずれも第1クォーターから2ndユニットの一角として起用されたことから見ても、早くも故障者が出始めたチーム内でその多才さが重宝されていることは明白だった。何よりも大きかったのは、本人が常に課題として挙げて来た3Pシュートを50%(5/10)の高確率で決めたこと。渡邊自身もその点に手応えを感じていたことは、17日の会見でのこんな言葉からも窺い知れる。
成功率5割という素晴らしい答え
「やっぱり(大事なのは)ディフェンスと3Pだと思っていました。ディフェンスもとにかくしっかり頭を使ってエナジーを出して守ることができたと思います。3Pも数字(試投数)自体はそんなに多くないですけども、毎試合しっかり高確率で決められていたんで、最低限のことはやれてたんじゃないかなって思ってます」
振り返ってみれば、渡邊にとって鍵になると思えたのはやはりロングジャンパーだった。献身的な姿勢と集中力に裏打ちされたディフェンスがNBAレベルでも通用することは証明されており、もともと守備はスランプが少ないものだ。あとはネッツが誇る多くのプレーメイカーたちが切り開いたスペースを、実戦の場でどれだけ有効に使えるか。
あくまで渡邊の言葉通りのスモールサンプル(=試投数が少ない)ではあるが、この最大の不確定要素で成功率5割という素晴らしい答えを出したのだから、もう誰にも文句を言わせる余地はなかった。