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「ブルックリンで家探しを始めます」渡邊雄太28歳、NBAネッツで始まる新たなニューヨーク物語…支えになった暁子夫人の言葉とは?
posted2022/10/19 17:03
text by
杉浦大介Daisuke Sugiura
photograph by
Getty Images
「家を決めたところでカットされたら無駄になっちゃうんで、ずーっとホテルでした。これでようやく(ブルックリンでの)家探しを今日から始めます」
そんな言葉はまさに渡邊雄太が感じていた切迫感と、そこから這い上がったことの価値を物語っているように思えた。本拠地を定めることができない日々はひとまず終焉。努力と実力で居場所を勝ち取り、新たなニューヨーク物語を始めることになったのだ。
「GMから直接おめでとうと言ってもらった」
10月17日、2022~23シーズンの開幕戦を2日後に控えた練習後。キャンプ契約でブルックリン・ネッツのトレーニングキャンプ、オープン戦に参加していた渡邊は日本メディア向けの会見の場に登場する。28歳になったばかりのサウスポーは、そこでその道程を追いかけたファン、関係者が歓喜するニュースを届けた。
「とりあえず開幕のロースターには残ったということです。僕は2日前、試合(プレシーズンのミネソタ・ティンバーウルブズ戦)が終わった次の日の朝にエージェントを通して聞いて、その日はチーム練習がオフだったんで、その次の日に体育館に来た時にGMから直接おめでとうと言ってもらいました」
契約社会のアメリカにおいて、無保証の選手がロースターに残ることの難しさは察してあまりある。特に今季、ケビン・デュラント、カイリー・アービング、ベン・シモンズというスーパースターを軸に優勝を狙うネッツなら、即戦力の人材が求められて当然。会見の場でも普段通りの謙虚な態度に終始した渡邊だが、本人も、周囲のファンも、ここで階段を上り切ったことは素直に喜び、誇っていいのだろう。