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「クボは〈Velocidad〉」「メンデスもクボも…」久保建英vs古巣撮影後、現地カメラマンやソシエダサポの率直な感想を聞いた
text by
中島大介Daisuke Nakashima
photograph byDaisuke Nakashima
posted2022/10/13 17:01
20-21シーズンに所属したビジャレアル相手に奮闘。ダビド・シルバらとの連動もあって、久保建英はソシエダで好調を維持している
74分、シルバとセルロートが交代。その際には、久保がイマノルの元に駆け寄り指示を受けると、シルバに代わってトップ下のポジションについた。
直前のELでのフル出場もあり、久保も早めの交代を予想していたが、87分まで出場。交代の際には、スタンディングオベーションとゴール裏サポーターからも久保コールで見送られた。攻撃面は言わずもがなだが、何度も繰り返される前線からの守備がファンの心を掴んだのではないだろうか。
ただ、トップ下に入ってからは中盤でのロストでピンチを招いたシーンもあった。終盤での疲れや、周りのサポートなど理由もあるだろうが、もし失点につながっていれば、言い訳にはならないだろう。この試合での評価が180度変わってしまう可能性もあったとも言える。
今後も様々なポジションでの起用に応えることが、チームを助けることになるだけに――それだけが気になる点か。
現地サポが称賛した「Velocidad」とは
試合は、怪我から復帰した途中出場のルノルマン等が守りきってソシエダが1-0で勝利。リーガ3連勝で順位を6位まで上げている。
そして試合後、元同僚でもあるビジャレアルイレブンや、サポーターのもとに向かう中で充実感に満ちた久保の表情が印象的だった。
試合終了のホイッスルが鳴ると、隣で撮影していた現地カメラマンから「久保、良かったな!」と声をかけられた。
気分良く取り急ぎの写真作業を終え、スタジアム近くのバルでバルサ対セルタ戦を眺めながら一杯飲んでいると――さっきまでスタジアムで観戦していたというソシエダサポーターと、どちらからということもなく会話が始まった。
試合の勝利とメンデスのゴールから始まり、話はもちろん久保にも及んだ。
「Velocidad」
まず最初に久保を形容した言葉は「スピード」だった。そして止まらずに働き続けている――と。
日本で最初に挙げられる、足元の技術やドリブルという言葉は出てこない。おそらく、ソシエダというクラブで先発で出場するには、テクニックがあるのは当たり前、その上で何ができるのかなのだろう。
“久保に、ゴールとアシストどっちを求めてる?”との問いには、
「まずはアシスト、そうすればゴールはついてくるから」と。さらに「メンデスも久保も、このクラブに“来れて”良かった」と言う。「2年3年と、築き上げてきたチームがある。だからこそ簡単にフィットできるんだ。ソシエダはもっと上に行くよ」とも。
一理あるが、誰でもフィットできるわけではない。プレービジョンを共有でき、それをプレーに落とし込む技術があるのが前提だろう。
そして最後に、W杯スペイン対日本戦のことも聞いてみた。
「日本は難しい相手だけど、俺は占い師じゃないから分からない」
ソシエダの未来は見えても、W杯の予測は断られてしまった。
記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。