球体とリズムBACK NUMBER
「C・ロナウド復帰はユナイテッド最大の過ち」今季初先発で大敗、先発外れるとマンUは4連勝…クリロナ37歳が直面する“不要論”
text by
井川洋一Yoichi Igawa
photograph byGetty Images
posted2022/10/08 17:00
バロンドール5度受賞の不世出のストライカーも今年37歳。昨年マンチェスター・Uに復帰も、イングランド国内での評判は…
彼の獲得は我々のフィロソフィーに反する
ところが、週給50万ポンド(約8000万円)の契約を持つ大ベテランを本気で迎えようとするビッグクラブはなかった。候補のひとつに挙がったバイエルン・ミュンヘンのオリバー・カーンCEOは、「クリスティアーノ・ロナウドは史上最高の選手のひとりだと見ているし、最大限の敬意を払っているが、彼の獲得は我々のフィロソフィーに反するものだ」と地元メディアに語っている。またチェルシーの新たなオーナーとなったトッド・ボーリーが興味を示したようだが、当時の現場の指揮官トーマス・トゥヘルの反対によって翻意したと伝えられた。
結局、買い手はつかず、ロナウドは7月下旬にユナイテッドの練習に復帰。だがエリック・テン・ハフ新監督のチームで彼が初めて先発したラージョ・バジェカーノとの親善試合──プレシーズン最後の実戦の機会だった──では、ハーフタイムに交代を告げられると、試合終了の笛が鳴るずいぶん前に帰路につき、物議を醸した。後にテン・ハフ監督は「受け入れられない行為」だと話している。
ロナウドはテン・ハフのプレースタイルにフィットしない
すると翌週には英紙『ガーディアン』が、「テン・ハフの最初のタスクは、ユナイテッドが犯した最大の過ち──ロナウドを連れ戻したこと──を解決することだ」と題したジョナサン・ウィルソン記者のオピニオン記事を掲載。曰く、一昨季にオレ・グンナー・スールシャール監督の下、プレミアリーグで2位となり、徐々に復活しつつあった名門が、ロナウドの加入によって後退を余儀なくされた。マンチェスター・シティが彼を迎えようとしている、との報道がきっかけになった移籍の経緯について、「シティが再びライバルとなり始めたクラブを不安定にさせるために裏で糸を引いていたとしたら、これ以上ないほどのオペレーションだった」と綴っている。
そして昨季、ロナウド自身はリーグ戦でチーム最多の18ゴールを決めたが、チームの総得点数は一昨季と比べて16も減った事実を記しつつ、「言うまでもなく、(ハイプレスに積極的ではない)ロナウドはテン・ハフのプレースタイルにフィットしない」と斬り捨てた。