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スターダム屈指の肉体派レスラー・飯田沙耶25歳の運命を変えた“推しと筋肉”「もう、制御しなくていいんだ」《特別グラビア》
text by
原悦生Essei Hara
photograph byEssei Hara
posted2022/09/30 17:01
スターダムきっての肉体派レスラーとして活躍する飯田沙耶。身長145センチと小柄だが、持ち前のパワーと強烈な闘志で存在感を示している
「目立ちたがり屋なのに、あがり症なんです」
飯田はもともと内気な子どもだった。幼稚園の頃は1人しか友達がいなかった。「その子がいなくなったら私どうしよう」と不安だったという。
「室内で絵を描くのが好きな子どもでした。積み木遊びとか、『ONE PIECE』のごっこ遊びもよくしていましたね。小学校に入って、ようやく動くことの楽しさがわかり始めた。友達も増えて、友達の家で遊んだりもしました」
徐々に社交的な性格になっていった飯田だが、「目立ちたがり屋なのに、あがり症なんです」と打ち明ける。
「クラス内でわちゃわちゃしているところにはいたけれど、いざ『お前行けよ』と言われると、『いや、そんな』って引っ込んじゃったりして(笑)」
小柄だが、運動神経には恵まれていた。「体力測定の50メートル走では、いつも上位でした。運動会でもずっとリレー選手でしたね」と当時を振り返る。そんな飯田が、部活動として陸上を始めるのは自然な流れだった。
「それまでは遊びで走っていただけなのに『速いね』って褒められて、嬉しかったですね。市内の学校が集まる大会に向けて、入賞を目指して頑張ってました。小学生のときは、100メートルで6位だったかな」
中学校でも陸上部の活動に打ち込んでいた飯田。1年生のころは「人見知りが発動して、昼休みも苦痛で、トイレに引きこもっていた(笑)」そうだが、やはり「部活は楽しかった」という。
「100メートルのベストは、たしか13秒5くらいです。200メートルにも挑戦したんですけど、後半、失速してしまった。足が回りませんでした。当時はまだ細かったですね。陸上以外のスポーツですか? 陸上部あるあるかもしれませんが、球技は苦手でした(笑)」
スーパーのレジ打ちからプロレスラーに
ファミレスでの取材中、飯田はハンバーグを注文した。流れで「好物は?」と聞くと、頼もしい答えが返ってきた。
「なんでも食べられちゃうんです。明太子とご飯なら、無限に食べられる。お菓子も好きだけど、あんまり食べると体によくないんで……。今は体作りのために鶏の胸肉、ブロッコリー。健康食です。サラダチキンはずっと食べていると飽きちゃいますね。魚はマグロとかカツオとか、赤いのが好き。肉だったらレバーかな。あ、パクチーは無理です(笑)」
話を青春時代に戻そう。中学卒業後、飯田は進路として工業高校を選んだ。