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スターダム屈指の肉体派レスラー・飯田沙耶25歳の運命を変えた“推しと筋肉”「もう、制御しなくていいんだ」《特別グラビア》
text by
原悦生Essei Hara
photograph byEssei Hara
posted2022/09/30 17:01
スターダムきっての肉体派レスラーとして活躍する飯田沙耶。身長145センチと小柄だが、持ち前のパワーと強烈な闘志で存在感を示している
復帰戦では、嬉しいできごともあった。
「母は会場になかなか来てくれなかったんですが、復帰戦は見に来てくれました。『体のこと大事にしてね』って。父はいろいろ言ってきますよ。『もっとこうしろよ。飯田ロケットなんか全然効いてないから、やめろ!』とか(笑)。親にはデビューが決まるまで言っていなかったんです。母には『就職先を探してる』とだけ伝えて、練習に出かけて昼過ぎに帰って、疲れて寝ていた。『こいつ、何しているんだ?』って思っていたでしょうね(笑)」
目指すは白いベルト奪取「この筋肉とともに!」
現在の飯田の目標は、上谷の巻く白いベルト(ワンダー・オブ・スターダム王座)への挑戦だ。開催中の『5★STAR GP』では、王者としての上谷の急成長ぶりを実感した。だからこそ、挑戦するためにはさらなる実績が必要だ。舞華、林下らとともに“黄金世代”と呼ばれた中で、しっかりとライバル視されたい。
今年の『5★STAR GP』で、飯田は葉月に勝つことができた。9月12日の後楽園ホール大会だった。「うれしい。まさか、ここで」という信じられない思いが飯田にはあったが、敗れた葉月は優しく微笑んだ。
4年前、飯田がスターダムに入門したころ各ユニットのリーダー2人ずつが練習を見てくれていた。その中心にいたのが葉月と花月だった。“師匠”とも言うべき葉月を丸め込んでフォールを奪えたことを、飯田は素直に喜んだ。「めっちゃ成長していると感じた」と試合後、葉月から声をかけられたという。
アクロバティックなカサドーラ風のエビ固め「飯田新橋」で勝負しようとも考えていた飯田だったが、ブリッジでの押さえ込み「飯田橋」2連発での勝利だった。
葉月に勝ったことは飯田の自信になった。誰にも文句を言われない形で上谷に挑戦し、白いベルトを巻くとあらためて決意した。
そんな飯田は、9月25日の『SHOWCASE』で行われたスターダムの「第1回マッスルコンテスト」に優勝した。1年分のプロテインを手にした飯田は、マイクを手に叫んだ。
「筋肉は嘘をつかない。この筋肉とともに!」
飯田に風が吹き始めた。
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