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プロ野球PRESSBACK NUMBER
清宮幸太郎が語る23歳の現在地「ちょっとデブじゃね?」から始まった渇望の1年 BIGBOSSへの思いと、それでも貫く「ホームランは正義」
text by
中田愛沙美(道新スポーツ)Asami Nakata
photograph byKYODO
posted2022/10/03 11:02
プロ5年目を「変化」の年と位置付けた清宮。試合出場数はチームトップだ
「周囲からは見た目が変わったと言われますが、やるからにはそれくらいやりたいし、誰がどう見ても変わったなと言われるようにしようと決めていました。やっぱり動きやすいですよ」
すべての始まりは、BIGBOSSの言葉だった。秋季キャンプを視察に訪れた指揮官は、体重100kgを超えていた清宮に「ちょっとデブじゃね? やせない?」と声を掛けた。仙台から東京への新幹線移動の間に牛タン弁当7個平らげたという逸話を聞きつけ、ダイエット指令を出したのだ。打球が飛ばなくなることを心配して減量することに躊躇もあったというが覚悟を決めた。
すぐ行動に移した。朝食前に時速6kmで歩くと脂肪燃焼効果があることを知り、秋季キャンプでは同部屋の吉田輝星と共に早朝散歩した。寮のある鎌ケ谷に戻ってからも継続し、わずか1カ月ほどで4、5kg減に成功。食事面ではドレッシングやたれで使わずに余分な糖質をカットし、年明けには昨秋のキャンプからさらに1kgの減量を果たした。
「デブじゃね?」から始まった1年。BIGBOSSへの思いは
技術面でも打撃フォームの改造に着手した。
「去年までは自分のスイングが嫌いで、嫌いで仕方なかった。だから変えることに対して躊躇することは全くなかったです。見ていてもひどいので。やっぱり自分のスイングを見て、格好いいなって思いたいじゃないですか」
オフは昨シーズン本塁打王のオリックス・杉本裕太郎らが通う野球塾「根鈴道場」に足を運び、正確なスイング軌道が身に付く「バレルバット」や、グリップが2本あるスイング矯正用具「シークエンスバット」を導入。これまでは球団施設で自主トレを行っていたが「5年目でガラっと環境を変えてやりたい」と一念発起し、「日本一のバッター。めちゃくちゃスイングが格好いい」と憧れるソフトバンク・柳田悠岐へ弟子入りを志願した。寝食を共にして、球界屈指のスラッガーに教えを請うた。