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甲子園優勝ドラ1左腕→新人王のち27歳戦力外→4年後ヤクルト入団も再び… 正田樹40歳は今、何を?「中途半端でやめるわけには」

posted2022/10/02 17:01

 
甲子園優勝ドラ1左腕→新人王のち27歳戦力外→4年後ヤクルト入団も再び… 正田樹40歳は今、何を?「中途半端でやめるわけには」<Number Web> photograph by Kou Hiroo

11月で41歳となる正田樹。かつての甲子園優勝投手は今、どうしている?

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広尾晃

広尾晃Kou Hiroo

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 8月6日、愛媛県松山市の坊っちゃんスタジアム。午後2時から愛媛マンダリンパイレーツと高知ファイティングドッグスの公式戦が開催された。35度の炎天下での試合、お客は日陰に寄り添うように固まっていた。

 筆者はこの日、愛媛の弓岡敬二郎監督に追加取材をしたのだが――ブルペンではゆっくりと正田樹投手兼任コーチが投球練習をしていた。40歳。この投手を球場でも、松山市内にある球団の練習施設でも何度も見かけたが、いつも物静かで目立たなかった。

 2021年は1勝8敗、防御率4.74に終わり今年からコーチ兼任となった。「実質的に引退だな」と勝手に判断していたのだが――。

130km台の速球でも防御率1点台の好成績

 先発のマウンドに立ったのは正田だった。

 先頭打者に安打を打たれ、初回に先制点を奪われたが、その後しり上がりに調子が良くなった。

 昔の独立リーグでは投手の球速は140km/h出ればいい方だったが、今では150km/hも珍しくない。打者もそんな速球を打ち返すようになっている。しかし正田の速球は130km/h台。ところが相手打者はそんな球に泳いでゴロを打ち、空振り三振を喫するのだ。

 この日の正田は5回70球を投げて5被安打5奪三振1与四球、自責点1。見事に今季2勝目を挙げた。

 今季の正田は9試合に先発し、4勝1敗46回30奪三振、自責点15、防御率2.93。特に後半戦は5試合4勝、防御率1.50と素晴らしい成績を残している。

 正田は1981年11月3日生まれ。NPBの投手では2学年上のヤクルト石川雅規、1学年上のソフトバンク和田毅が健在だが、石川と同学年のオリックス能見篤史がこのほど引退。正田の1学年下の西武・内海哲也も引退を表明した。野手も含めれば正田はこれも引退を表明した阪神の糸井嘉男、そしてヤクルトの青木宣親と同級生だ。

 同世代が次々と引退する中で、正田は独立リーグとは言え、前年よりも成績を伸ばしていたのだ。そんな正田に、9月あらためて話を聞いた。

「松坂の翌夏の甲子園優勝投手」だった正田

 正田樹は、松坂大輔の次の「夏の甲子園の優勝投手」である。桐生一高の左腕エースとして3完封の活躍だった。

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