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《ヤクルト連覇》村上宗隆の打球音に「恐怖を感じる」…60本バレンティンも支えた“名打撃投手”が証言「今年の村上の方が上」「本当によく出来た青年」 

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佐藤春佳

佐藤春佳Haruka Sato

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photograph byHideki Sugiyama

posted2022/09/26 11:06

《ヤクルト連覇》村上宗隆の打球音に「恐怖を感じる」…60本バレンティンも支えた“名打撃投手”が証言「今年の村上の方が上」「本当によく出来た青年」<Number Web> photograph by Hideki Sugiyama

ヤクルト連覇を牽引した村上宗隆22歳。バレンティンと村上の打撃投手経験がある佐藤賢さんに、二人のエピソードと「60本」の可能性について聞いた

 確かに当時バレンティンのフリーバッティングはさながら「ホームランショー」の様相だった。観客のみならず対戦相手の選手もベンチ前に出てきて打球の行方を眺め、フルスイングから飛び出した砲弾が外野スタンドに突き刺さると大盛り上がり。13年のヤクルトは夏前から最下位独走状態だったこともあり、バレンティンのホームラン記録だけが注目を集めていた。一方で今季、首位を堅持しながらいとも簡単に「55本」をクリアし「60本」を見据える村上の状況は正反対だ。

「あの当時と優勝争いをしている今とでは空気が全く違います。村上はチームの勝利を何より最優先する選手。ここで打ってくれ、4番頼むぞ、という時に期待に応えてきた。去年に比べても格段に勝負強くなって、一発で仕留める集中力、技術が凄い。僕らからしても、ここで打っちゃうんだ、と驚くくらい規格外です。もちろんあの時のバレンティンも凄まじかったですけど、数字とは別の価値という意味でも今年の村上の方が上なのかなと感じています」

焼肉弁当の心遣いに「なんであんな風にできるんでしょうね」

 まだ22歳ながら、周囲への気遣いも忘れない。9月の大阪遠征の際、宿泊先の佐藤さんの自室には村上から超高級店の焼肉弁当が届いた。コロナ禍で外出制限があるなか、好きな焼肉にも行けない裏方を気遣っての差し入れだった。

「100号とか150号という節目のタイミングや、表彰を受けた後などでいつも、“本当にありがとうございます”という言葉をかけてくれます。そう言ってもらって報われるというか、ちょっとでも力になれているのかな、と嬉しい気持ちになります。本当にまだ22歳なんですよね。なんであんな風にできるんでしょうね。キャプテンシーもあって、本当によく出来た青年、という感じです」

 史上最年少記録を次々と更新していく22歳は、周囲の喧騒にも浮かれず常にチームの勝利だけを見据える。シーズン最終盤で“産みの苦しみ”に直面しながらも果たした29年ぶりのリーグ連覇、そして、その先にあるホームランの大記録へ――。「もっとプレッシャーをかけてほしい」と話す村上は、9年前神宮球場を熱狂させたバレンティンが刻んだ「60」の数字もしっかりと射程内に捉えている。

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