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東京五輪の涙から1年…バドミントン山口茜(25歳)が見せつけた“世界ランク1位の貫禄”「冷静さとガッツが混在している」

posted2022/09/24 06:02

 
東京五輪の涙から1年…バドミントン山口茜(25歳)が見せつけた“世界ランク1位の貫禄”「冷静さとガッツが混在している」<Number Web> photograph by Getty Images

決勝では東京五輪金メダリスト相手に68分に及んだ激闘を制した山口。気迫溢れるプレーでスタンドを沸かせた

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矢内由美子

矢内由美子Yumiko Yanai

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 8月に東京で開催されたバドミントンの世界選手権女子シングルスで、山口茜(再春館製薬所)が連覇を達成し、世界ランク1位の貫禄を見せつけた。

「日本での世界選手権で一番良い結果を得ることができ、うれしい」

 安堵の笑みを浮かべる山口に6200人が集ったスタンドから拍手が降り注いだ。久々に有観客で行なわれた今大会には、1週間で累計2万7570人が足を運んでいた。

 世界屈指のフットワークと躍動感あふれるジャンピングスマッシュ、相手の意表を突く配球は、女王の風格たっぷりだった。初戦から準決勝までストレート勝ちを収め、決勝では昨夏の東京五輪を制した陳雨菲(中国)を2-1で下した。ラリー展開を自分で組み立てながら主導権を握り、機を見て自分から攻撃を仕掛け、つかみ取った金メダルだった。

 だが、彼女の魅力はそれだけではない。我慢の展開となった時でも見る者をうならせられるのが山口。陳との決勝戦では、コートに体を投げ出すダイビングレシーブで何度も会場を沸かせた。すぐさま起き上がり、逆サイドへ打ち落とされたシャトルにまで追いつく俊敏性には凄みすらあった。冷静さとガッツがバランス良く混在しているのだ。

あの史上最年少優勝からちょうど10年目

 2013年、男女を通じて史上最年少の15歳で日本代表入りを果たし、16歳だった同年9月に東京体育館で行なわれたジャパンオープンで、ツアーの女子シングルス史上最年少優勝を果たした。

「当時はトップ選手とやる楽しさを知り、対等にやり合えるようになりたい、うまくなってもっと楽しめるようになりたい、と思っていた。世界にはそういう相手がたくさんいると知ったのが2013年だった」

 世界を驚かせた最年少優勝から今年はちょうど10年目。「この間、大きな怪我もなく、いろいろな大会で優勝することができた。トップの世界に行かないと感じられないものも感じてきた」としみじみ言う。

 昨夏の東京五輪では8強止まりで涙をのんだ。1年後の今回、日本での世界選手権優勝には「グッとくるものはあった」と言うが、東京五輪と関連付けて語ることは避けている印象だった。五輪の悔しさは五輪で返すしかない。そんな決意もにじむ、気持ちのこもった優勝だった。

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