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プロ入り3年目の大谷翔平…交流戦で戦った“セ・リーグ強打者たち”の声「メジャーリーガーになる人」「ダルビッシュに似ているところが…」
text by
田口元義Genki Taguchi
photograph byHideki Sugiyama
posted2022/09/04 06:01
プロ3年目の大谷翔平に対するセ・リーグ打者たちの評価とは?(写真は2016年日本シリーズ)
中日・大島洋平「ボール1個分クッと内側に…」
最初の登板となった5月30日の中日戦。相手打線にストレートを狙われたことで3回までに2点を失ったが、4回以降は変化球主体の投球に切り替え、降板する8回まで全て三者凡退に抑え勝利を手にした。
「大谷君は、『全力でいった』みたいなことを言っていましたもんね。160kmのボールを投げるピッチャーなんで、球種を確認して振りに行ったら絶対に差し込まれる。そう思ったから真っ直ぐを狙ったんですけど、失敗したなって自分では思っています」
切り込み役の大島洋平は悔しそうに話す。
中日はセ・リーグで唯一、大谷と3年連続で対戦することになったが、大島は'13年、'14年ともに大谷から安打しており悪いイメージは持っていない。
ただ同時に、制球力がよくなり、投球全体にまとまりが出てきているなど、大谷の成長も承知している。相性が悪くないとはいえ、警戒心は強かったという。
「試合前に大谷君の映像を見たんですけど、変化球が増えたと感じたし、奪三振率もすごく高かったから、追い込まれるときつくなるとは考えてました」
第1打席は初球の低めのストレートを迷わず打ちに行きセカンドゴロ。第2打席は、エンドランのサインが出ていたこともあって繋ぎに徹しセカンドゴロ。いずれも凡打に倒れたが安打とは紙一重だった。
今までと違う……。大島がそう感じたのは、第3打席と第4打席だ。
大谷が変化球主体の投球にシフトチェンジし、中日打線を圧倒し始めたこともそうだが、それ以上に大島が驚いたのは、想像以上に高い変化球の質だった。
「スライダーってイメージがあまりなかった。他のピッチャーだったら対応できたのかもしれませんけど、大谷君のスライダーは『このへんで曲がるかな?』っていう位置よりも、ボール1個分クッと内側に入ってくる。その分、差し込まれてしまった」
「メジャーリーガーになる人だから…」
ストレート狙いを徹頭徹尾貫いた大島は、2打席では予想以上に変化するスライダーを仕留めることができなかった。
忸怩たる想いをぶつけるように、大島が大谷との対戦を振り返る。