欧州サッカーPRESSBACK NUMBER
久保建英は「2ケタ得点」狙えるのでは…名手シルバと“精度の差”はあれど、カメラマンが感じたワケ〈バルサ戦好守で同点弾の起点〉
text by
中島大介Daisuke Nakashima
photograph byDaisuke Nakashima
posted2022/08/25 11:01
バルサ戦に先発出場した久保建英。ソシエダはスコア的に完敗だったが、写真を含めて90分間を通して見ると……?
キックオフ1時間前、スターティングイレブンが発表され、ピッチに散水がなされる頃、スタジアム上空を夕焼けが覆った。
2試合連続で先発出場となった久保がシルバとコンビで瞬発系トレーニングに臨む。また前節同様、久保のトップ起用を予測させる、イサクとコンビでのシュート練習も繰り広げられた。
久保にとって対するバルサは、幼少期を過ごした思い入れのあるクラブである。しかし、ピッチに入った久保からは思いつめるような雰囲気はなく、エスコートキッズに冗談を飛ばし笑いを取る余裕を感じさせた。
久保が見せた積極的守備と、シルバとの現状での差
22時、ホイッスルが吹かれる。バルサがGKまでボールを下げる。刹那、トップ下に入るダビド・シルバが猛然とテア・シュテーゲンへプレスをかけた。これを合図に連動して前がかりにボールを奪いに出る。序盤からハイプレスをかけるというチーム方針を感じさせる一瞬だった。GKより右に開いたアラウホにパスが通った瞬間、久保が猛然と襲いかかりボール奪取に成功する。
そのままソシエダはボックス内まで持ち込み、最初のチャンスを作ったかに思えた。ホームチームとしては理想的な入りに思えたが、シュート直前に奪われたボールは、バルサのカウンターにつながり、レバンドフスキがソシエダゴールに突き刺した。開始からわずか1分の出来事だった。
このままバルサに流れを持っていかれてもおかしくない中、ソシエダは6分、同点に追いつく。アラウホからボランチのデヨンクにパスが入ると同時に、シルバと連動し挟み込んだ久保が再度ボール奪取に成功。シルバが前線のイサクへ展開し、イサクがエリック・ガルシアのマークをかわしてゴールを揺らすと、4万人近いサポーターが揺れた。
一進一退の展開の中、ソシエダにとっての転機になり得たプレーに久保が関わっている。
25分過ぎ、ミケル・メリノが放ったシュートのこぼれ玉に、いち早く久保が反応しボックス内フリーでシュートを放った。しかし枠を捉えることができなかった。
たらればになるが、“これを決めていたら!”とは思わずにはいられない。
なお前半終了間際、同じような位置でシルバがシュートを放っている。これはシュテーゲンが見事な反応でセーブしたが、シュートはゴールを捉えていた。局面での精度の差を感じさせるシーンだった。
奮闘していた久保だが、撮影を通して気になったこと
久保はバルサを相手に、ライン間に顔を出してはボールを引き出し、試合に関与し続けた。後半には、マークに食いついてきたアラウホをトラップ一つでターンしてかわした。アラウホはカードを覚悟でファールで止めるしかなかった。
守備面でも、序盤のボール奪取からチャンスにつながったように、局面に合わせ、流動的にタスクをこなしていた。
ただ撮影を通して気になったのは――サイドを突破してからのラストパスが、DFにクリア、または直接GKにキャッチされてしまい、顔を歪めるシーンが何度かあった点か。最終局面での、シュート、パスの精度を高める必要はまだまだありそうだ。