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「娘には“ボロボロの1年生”って言われてます」元バレー代表キャプテン荒木絵里香(38)は早稲田の大学院で何を学ぶ?〈引退から1年〉
posted2022/08/23 11:01
text by
田中夕子Yuko Tanaka
photograph by
Kiichi Matsumoto
学生に戻ったのは20年ぶり。
「今はピカピカの1年生。でも(娘の)和香には“ボロボロの1年生”って言われています」
元女子バレーボール日本代表、荒木絵里香。北京、ロンドン、リオデジャネイロ、東京と4度の五輪に出場し、そのうち2度、主将も務めた。
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36歳で出場した昨年の東京五輪は予選グループリーグ敗退。ドミニカ共和国に敗れた最終戦の翌日に37歳の誕生日を迎えた荒木は、大会終了後の9月に現役引退を発表した。
現在は最後に所属したトヨタ車体クインシーズのチームコーディネーターとしてチームの強化に携わる一方、早稲田大学大学院スポーツ科学研究科に通う学生でもある。
いや、一方ではない。むしろ生活の大半は大学院生の時間が占めている。
「自宅から大学まで約2時間。週3回ぐらいで、授業自体は午前中に2コマとか、夜に受けたりまちまちです。授業以外にもそれぞれの研究テーマをゼミ生で話をしながら練ったり、揉んだり。今は春学期が終わって夏休みに入ったところですけど、全然“休み”の感覚はないですね。むしろ周りの方々からは『夏休みに休んだら終わりだぞ』と言われているので(笑)」
「バレーボールでやっていく自信がなかった」
もっと学びたい、と考えだした時期は「高校2年生ぐらい」と意外に早い。
小学6年生の頃から身長は優に180cmを超え、運動能力も高かった。とはいえバレーボールにおいては不器用で、高校時代は自分の身体もまともに扱えず「どんくさいプレーしかできなかった」。それでも成徳学園高校(現・下北沢成徳高校)の同級生である大山加奈と共に数々の全国大会に出場し、春高・インターハイ・国体の高校3冠を達成している。当時の写真が掲載された雑誌を指差し、笑う。
「ウサギとカメ。どう考えても私がカメで加奈がウサギですよね」
そんな“ウサギを追いかけるカメ”だった頃、頭の中に描いていた選択肢は大学進学だった。
「バレーボールだけでやっていく自信がなかったんです。そもそも自分には朝から晩までバレーボールしかしない生活なんて無理だ、と当時は思っていました。でも、今思えば朝から晩までバレーボールだけで、3食昼寝付きの選手生活って最高だった(笑)。キャリアの終盤にそのありがたさに気づいたから、長く現役を続けられたのかもしれないですね」