濃度・オブ・ザ・リングBACK NUMBER
「次の選手に何を望む?」記者の質問に、武尊が返した“意外な答え”…「武尊のいないK-1」はどうなるか? タイの大学生女子王者も誕生
text by
橋本宗洋Norihiro Hashimoto
photograph byTakao Masaki
posted2022/08/11 11:03
K-1女子に新設されたアトム級の王座決定トーナメントを制したパヤーフォン・アユタヤファイトジム
「武尊くんの負けで…“絶対やったる”っていう気持ちに」
この大会が行われたのは、天心vs.武尊の翌週だった。これまでK-1を引っ張ってきた武尊の敗北を、KANAは重く受け止めていた。
「武尊くんの負けで、自分もエネルギーを奪われてしまって。その反動で“絶対やったる”っていう気持ちにもなりました。『THE MATCH』より熱が冷めてしまうというのもあると思ったので、メインがなんとかしなきゃいけないと」
だからいつも以上にKOで勝ちたかったし、その決意が形になった後はマイクを握って「K-1最高!」と叫んだ。これは武尊の試合後の決め台詞だ。
「(「K-1最高」と)KOで勝って、絶対に言おうと決めてました」
この大会はK-1女子の新たな、かつ本格的なスタート。しかし男女関係なく『THE MATCH』以後のフェイズにどう臨むのかというテーマを提示するものにもなった。
K-1女子の本格的なスタート
大会では、新設されたアトム級の王座決定トーナメントも行われた。優勝したのはムエタイのパヤーフォン・アユタヤファイトジム。2002年9月生まれだから19歳と若い。しかしすでにムエタイ世界王座を獲得しており、トーナメント決勝がキャリア81戦目。ムエタイ仕込みの蹴りを武器に、1回戦でMIO、決勝戦で菅原美優に判定勝ちを収めた。
MIOはシュートボクシング時代にトップ選手として活躍。菅原はK-1系列のイベントKrushのチャンピオンだ。菅原は1回戦で伸び盛りの松谷綺を下したが、パヤーフォンにはペースを握らせてもらえなかった。
パヤーフォンの主な武器はミドルキックとヒザ蹴り。ムエタイらしい闘い方だが、K-1ルールでは禁じられている組み付いての攻撃も目立つ。決勝は延長にもつれこみ、判定2-1の接戦でもあった。ただ、MIOが語っていたフィジカルの強さも魅力で、なおかつムエタイのテクニックはそう簡単に崩されないはず。これからK-1ルールにアジャストしていけば面白い存在になりそうだ。