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現役生活に“一区切り”…女子体操の立役者・杉原愛子22歳はいま何してる?「練習と学生の指導も。コーチの大変さを実感しています」
posted2022/08/08 11:00
text by
矢内由美子Yumiko Yanai
photograph by
Asami Enomoto/Getty Images
五輪に2度出場し、高い技術と華のある演技で観衆を魅了してきた杉原に、競技をしながら貫いてきたこだわりや、知られざる苦しみを語ってもらった。(全3回の特別インタビュー1回目/#2、#3へ)。
黒いベルトとスパンコールが目を引く真っ赤な衣装。自身のこだわりの詰まったオーダーメイドのレオタードを身にまとい、杉原は笑顔でゆかの演技のスタートポジションについた。
6月19日、東京体育館で開催された全日本種目別選手権決勝。最後は会場の手拍子に乗って着地をピタリと決め、2位という好成績で有終の美を飾った。
「観衆を一番魅了したのは私だったというくらい、悔いのない良い演技ができました。めっちゃ楽しかったです」
感極まって涙する場面もあったが、弾ける笑顔でフロアを後にした。
現在は練習と“学生への指導”を両立中
それから1カ月あまり。武庫川女子大学での取材に足を運ぶと、少しほっそりした印象の杉原が笑顔で迎えてくれた。
「今も週に3回ほど体を動かす程度で練習もやっていますが、メインは学生の指導です。選手をサポートする側に回って、改めてサポートしてもらうことのありがたさを感じていますし、コーチの大変さを実感しています」
ほっそりしたように見えたのは筋肉がやや落ちたから。今年で23歳。東京五輪を目指して2年間休学していたため、卒業は来年3月になる予定だ。
6月で競技生活の第一線を退くにあたって、杉原は「引退ではなく一区切り」という表現をしてきた。それにはどのような意図があるのか。
「アマチュアスポーツは引退という言葉に縛られるイメージが強いと思います。私は誰もやっていないことをするのが好きで、今はセカンドキャリアのことも考えて新しいことをしていきたいという思いもあるので、『一区切り』というニュアンスにさせていただきました」