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「最初から怖がらなかった」父・松田努が語る、娘・凜日とラグビーの出会い…待望の大型FBに受け継がれる“15番のDNA”とは? 

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大友信彦

大友信彦Nobuhiko Otomo

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photograph byL)JRFU / R)Hideki Sugiyama

posted2022/08/05 17:01

「最初から怖がらなかった」父・松田努が語る、娘・凜日とラグビーの出会い…待望の大型FBに受け継がれる“15番のDNA”とは?<Number Web> photograph by L)JRFU / R)Hideki Sugiyama

5年ぶりの女子ラグビー国内テストマッチで輝きを放った松田凛日(20歳/左)。父・努の代名詞である「15番」を日本代表で初めて背負った

 関東大会終了後の2022年3月、凜日はレスリー・マッケンジーHC率いるサクラフィフティーンの候補合宿に招集され、4~5月のオーストラリア遠征メンバーに選ばれた。

 5月1日、フィジー戦にWTB(11番)で先発し、初キャップ獲得。そして10日の強豪オーストラリア戦はコロナ感染者が出たことで急遽ポジション変更しながらも、CTB(13番)で先発して世界ランク5位(当時、日本は12位)を12-10で破る金星に貢献した。

「練習ではWTBしかやっていなかったので少し不安もあったけど、日体大ではCTBをしていたし、できないこともないと思いました。相手はデカい人が当たってきたけれど、自分もフィジカル的には自信があるし、負けることはないと思って、強気に行きました」

 海外勢と戦うとき、日本はどうしてもサイズ面、フィジカル面で劣勢を強いられがちだ。男子の日本代表は近年プロ化、トレーニング環境が充実し、外国出身選手が増えたこともあり海外と互角に戦えるようになってきたが、女子選手の環境はそこまで整備が進んでいない。その中で、自ら「自信がある」と言い切る凜日のフィジカルの強さは日本女子の大きな武器になる。

 その凜日がチーム最後尾の砦となるFBにいればどれほど頼もしいか――それが7月24日、釜石での南ア戦でも遺憾なく発揮されたのは冒頭に紹介した通りだ。その強烈なタックルを貫いているのは、父から受け継いだ「背番号15」のDNAだった。

「こんなに難しいポジションをやっていたのか」

 凜日が初めて背番号15を背負ってプレーをしたのは2018年12月27日、高2で出場した花園ラグビー場のU-18花園女子15人制だった(レスリーが記憶していたのはこの試合だ)。当時の試合後、メディアに囲まれた凜日は言った。

「15人制の試合は今日が2回目で、FBは初めてです。お父さんに『FBはどうしたらいいのかなあ?』と聞いたら『何とかなるよ』としか言ってくれなくて(笑)。試合では、相手が抜けてきたときにどこにいなきゃいけないか、ポジショニングも分からないし、『お父さんはこんなに難しいポジションをやっていたのか……』と思いました。もっと勉強したい」

「15番」の重みを理解した凛日が見せた南アフリカ戦での躍動。さらなる飛躍を感じさせるプレーだった。

<#2につづく>

#2に続く
全国出場ゼロ→日本代表の15番へ…“異色のレジェンド”松田努はなぜ女子ラグビー指導の道に? 代表デビューの娘に送った“おめでとうLINE”

記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。

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