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《F1前半戦総括》王者の風格で首位独走のフェルスタッペンと、速くても結果が残らないルクレールの明暗を分けたものとは 

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尾張正博

尾張正博Masahiro Owari

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photograph byGetty Images / Red Bull Content Pool

posted2022/08/05 11:01

《F1前半戦総括》王者の風格で首位独走のフェルスタッペンと、速くても結果が残らないルクレールの明暗を分けたものとは<Number Web> photograph by Getty Images / Red Bull Content Pool

チャンピオンの風格が出てきた今季のフェルスタッペンは、チームと強い信頼関係を築き、いい形で前半戦を終えた

 逆に速さがありながら、それを前半戦の結果につなげられなかったのが、フェラーリとシャルル・ルクレールだった。フェラーリ・ドライバーとして2010年以来となる開幕戦でのポール・トゥ・ウィン、ファステストラップ、そして全周リードとなる「グランドスラム」を達成したルクレール。3戦を終えた段階でルクレールがフェルスタッペンに46点差をつけたときには、ルクレールが初のチャンピオンへ向けて大きくリードしたかに見えた。

 その後、フェルスタッペンに逆転されたひとつの要因は、パワーユニットの信頼性不足だ。フェラーリのパワーユニットのトラブルはルクレールだけでもすでに2回起きており、いずれもトップ走行中の出来事だった。ただし、マシンを使って戦うモータースポーツにはトラブルはつきもので、レッドブルにもトラブルは起きている。

ルクレールとフェラーリに漂う不協和音

 もうひとつ、フェラーリが速さを成績に結び付けられていない理由に、ドライバーとチームの信頼関係がある。第12戦フランスGPではトップ走行中にルクレールがドライビングミスでクラッシュ。逆にモナコGPとイギリスGPでは、フェラーリの戦略ミスでルクレールが優勝を逃した。ドライバーとチームとの間に、目には見えない綻びが生じていたとしても不思議はない。

 夏休み前、最後の一戦となったハンガリーGPは、今年のレッドブルとフェラーリの前半戦を象徴するようなレースとなった。

 レッドブルは、予選のQ3に入ってからパワーユニットのトラブルに見舞われ、フェルスタッペンが最後のアタックが行えずに予選10位に終わる。

 一方、ルクレールは3番手からのスタート。ハンガリーGPの舞台となるハンガロリンクは抜きどころがほとんどない。10番手からスタートするフェルスタッペンに勝ち目はなく、ルクレールはできれば優勝、最低でもフェルスタッペンに先着し、ポイント差を縮めるチャンスだと誰もが思った。

【次ページ】 レース戦略で別れた明暗

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