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《F1前半戦総括》王者の風格で首位独走のフェルスタッペンと、速くても結果が残らないルクレールの明暗を分けたものとは
posted2022/08/05 11:01
text by
尾張正博Masahiro Owari
photograph by
Getty Images / Red Bull Content Pool
F1はいま全22戦中13戦を終え、夏休みに入った。前半戦を終え、チャンピオンシップ争いをリードしているのはレッドブルのマックス・フェルスタッペン。昨年、ドライバーズ選手権を2013年以来、8年ぶりに奪還したレッドブルは、コンストラクターズ選手権でも2位以下に大差をつけて独走している。
レッドブルが2つのチャンピオンシップをリードしている理由は、新王者となったフェルスタッペンに因るところが大きい。
以前のフェルスタッペンは、どちらかといえばアグレッシブなドライバーとして存在感を示していた。バトル中に何度か進路を変更してセバスチャン・ベッテルやキミ・ライコネンといった元王者を怒らせたり、昨年もルイス・ハミルトンと2度接触事故を起こしている。勝負どころでは絶対引かないことがフェルスタッペンの良さでもあり、批判を受ける理由にもなっていた。
チャンピオンという肩書がもたらす風格
ところが、今年はここまでライバルと接触したり、物議を醸すような走りを見せていない。そのことを物語るのが予選と決勝レースの成績だ。昨年は夏休み前までの11戦で4回ポールポジションを獲得し、5回優勝していたが、今年はポールポジションが3回と1回減ったのに対して、優勝は8回と3勝増えている。つまり、今年のフェルスタッペンは逆転優勝が増えた。
元々、速さがありながら、なかなかそれを結果につなげられなかったフェルスタッペン。しかし、昨年7冠王者のハミルトンとの激闘を制したことで、さらに成長し、逞しくなった。
ただし、現在のリードは決してフェルスタッペンだけで築いたものではない。そのフェルスタッペンの速さを信用してレースの戦略を立てている、レッドブルというチームの総合力によって実現していることを忘れてはならない。