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“りくりゅう先輩”がきっかけに…日本ペアの新星、長岡柚奈19歳&森口澄士22歳が成長中!「隣に信頼してる人がいる」結成2季目の関係性
posted2024/09/15 11:05
text by
田村明子Akiko Tamura
photograph by
AFLO
9月3日と4日、ニューヨークのチェルシーピア、スカイリンクにて「ジョン・ニックス・ペアズ・チャレンジ」が開催された。全CS(チャレンジャーシリーズ)中、唯一のペアのみの大会で、全米チャンピオンのエリー・カム&ダニー・オシェアが優勝。この夏カナダで合宿中だった長岡柚奈&森口澄士組も初挑戦し、15組中8位だった。
森口は大会後、こう感想を口にした。「この大会はペアのみで、周りと比較したりなどできるので、やる気が出る。次に向けて調整したりとかもできるので、出させていただいてありがたいと思っています。ミスもあったけど、他にいいところもたくさんあったので次に向けて修正していきます」
22歳の森口は、ペアに転向して今季が5年目になる。23年まで組んでいた村上遥奈とはジュニアGPファイナルに進出、世界ジュニア選手権で4位入賞して将来を期待されていた。彼にとって長岡は3人目のパートナーでまだ結成2シーズン目だが、昨年の全日本選手権では出場した唯一のペアとしてタイトルを手にした。
ペア挑戦のきっかけは「りくりゅうペアを生で見て…」
19歳の長岡にとっては初のペア挑戦だが、転向したきっかけをこう説明した。「小学生の時に(身体が)小さかったので連盟の方に『ペアに興味ないの?』と声をかけていただき、そこから興味を持つようになったんです。自分も出場した東日本大会で、りくりゅう(三浦璃来&木原龍一)ペアを初めて生で見て、本当にすごくて……やっぱりやってみたいと思ったのがきっかけです」
パンデミックの影響でなかなかチャンスは巡ってこなかったが、昨年4月に新パートナーを探していた森口とのトライアウトの機会があり、ペア結成を決めた。
「トライアウトで初めてリフトとスロウ(ジャンプ)をしてもらった。持ち上げてもらったときは、シングルだったらいない場所、高い場所にいるのが楽しくて。景色も違うから、すごいな、という感じでした」
“日本代表ペア”というプレッシャー
だがその一方で、シングル時代にはなかったプレッシャーもある。2023年に三浦&木原が世界チャンピオンになり、日本のペアは2024年世界選手権に3組の出場枠があった。だがまだ結成初年だった長岡&森口は、出場に必要なミニマム・スコアを事前の大会で取得することができなかった。
「去年は僕の中で一番緊張しました。チャレンジカップの時、脚が震えて。プレッシャーに強い方なのに、自分はこんなに緊張するんだ、と……去年はやばかったです」と森口は苦笑する。新ペアを結成したばかりでいきなり世界選手権への出場を期待されたというのは、尋常ではないプレッシャーだったのではないか。
日本のペア人口は極度に少なく、結成と同時に将来の五輪団体戦も見据えた期待を嫌でも背負う運命にある。そのプレッシャーをどう感じているのだろう。そう聞くと、二人はちょっと神妙な表情になり、しばらく口を閉じた。