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「プライベートな付き合いをしなくても取材はできる」平井理央39歳を救った『すぽると!』先輩・内田恭子の言葉 

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秋山千佳

秋山千佳Chika Akiyama

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photograph bySankei Shimbun

posted2022/07/30 11:01

「プライベートな付き合いをしなくても取材はできる」平井理央39歳を救った『すぽると!』先輩・内田恭子の言葉<Number Web> photograph by Sankei Shimbun

元フジテレビアナウンサーで現在はフリーで活躍する平井理央さん。6年半務めたフジの人気スポーツ情報番組『すぽると!』の2代目メーンキャスター時代を振り返るロングインタビュー

平井 野球選手の上原浩治さんを初めてロングインタビューした時のことは、すごく印象に残っています。2008年のことで、上原さんは巨人からメジャーリーグへの移籍のためFA権を獲得したところでしたが、コンディションがよくない時期だったんです。それでも北京五輪の日本代表に選ばれて、その会見からご自宅へ戻るまでの車中で『すぽると!』のインタビューを受けてくれたんです。巨人担当のディレクターさんが築き上げてきた信頼関係があるからこそ受けてもらえたことですし、最後のバトンが私に渡されたと思うとすごく緊張して。

――それは緊張しますね。

平井 でもディレクターさんが背中を押してくれたんです、「やっちゃえ平井」と(笑)。もし足りないところがあれば自分が補うから、と。それで、ある程度想定した台本はあったものの、かなり脱線して。

――思い切ってやっちゃえと。

平井 車中で話すうちに、上原さんが心を開いてくださって、「今の状態のままだったら引退かなと思っている」ということをほろりと語ったんです。引退まで考えていることを初めてメディアの前で発したという意味ではスクープですけど、自分としては、トップアスリートの心に触れられたという意味で忘れがたいです。後に上原さんも、そのインタビューですごく楽になったと言ってくださって。非常にやりがいのある仕事だなと改めて感じました。

――今振り返って、なぜ心の奥深くまで触れることができたと思いますか。

平井 ディレクターさんによって心を開いてくれるベースは整っていたので、その上で私自身は「上原さんが今話したいことを話してもらおう」と臨みました。何とかスクープを引き出そうというガツガツした気持ちより、上原さんの心に寄り添おうと決めた、その欲のなさがよかったのかもしれないですね。

――車中の時間はどれくらいだったんですか。

平井 30分弱くらいです。

――そんな短時間で心に触れるところまで。

平井 車という密閉された空間も打ち解けるにはよかったのと、その時がはじめましてではなく、球場ではご挨拶したりその場で少しお話ししたりしたことはあったんです。

――なるほど! 平井さんがご自分の時間を割いてまで現場に通っていたことが実を結んだわけですね。

平井 スポーツの現場では信頼関係が何より大事なんです。選手からしたら、たまに来てはちょっと話を聞いて帰るという相手には心を開きにくいと思うので。

女性アナウンサーという職に「華々しさを感じていなかった」

――こうして平井さんのお話をお聞きしていると、ご自分でおっしゃったように「元アイドルのアナウンサー」というイメージとはギャップを感じます。

【次ページ】 オンエア終わりに深夜のシネコンに

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