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「プライベートな付き合いをしなくても取材はできる」平井理央39歳を救った『すぽると!』先輩・内田恭子の言葉
text by
秋山千佳Chika Akiyama
photograph bySankei Shimbun
posted2022/07/30 11:01
元フジテレビアナウンサーで現在はフリーで活躍する平井理央さん。6年半務めたフジの人気スポーツ情報番組『すぽると!』の2代目メーンキャスター時代を振り返るロングインタビュー
平井 彼女はもともと学生時代に『すぽると!』でキャスターをやっていたので、番組的には先輩であり、私が何かアドバイスしたということはなかったです。先輩後輩というより、同志という感覚ですね。オンエア終わりに深夜のシネコンに映画を一緒に見に行ったり、サッカー中継を朝まで一緒にアナウンス室のテレビで観たり、ハードながらも、朋ちゃんがいたから楽しかったです。
過酷な6年半「あの20代がなかったらこの10年もなかった」
――『すぽると!』といえば、スポーツアナウンサーのレジェンドである三宅正治さんも気になるところですが、さすがにダンスは……。
平井 いえいえ、楽しくダンスする先頭にいる人です(笑)。愉快な面をお持ちで。
――逆に怒られることはなかったですか?
平井 怒られるというより、色々教えてくださることが多かったです。これは私の勘違いだったんですけど……三宅さんの言葉として「取材に行く時は必ずお土産を持っていきなさい」と教わったのが印象に残っていたんです。お土産というのは、自分なりの着眼点でその選手について感じたことを持っていくことだなと解釈して、実践していました。後々、三宅さんが番組を辞められる時に「なかなかいいお土産を持っていけないけど、毎回頑張っていました」と報告したら、「えっ、おれは『取材に行ったら必ずお土産をもらって帰ってこい』と言ったつもりなんだけど」と言われました。
――逆だったんですね(笑)。
平井 あ、そっち? と(笑)。そんな私の勘違いもありましたけど、おかげで取材に行く時の心構えが磨かれました。
――他にもアナウンサーとして影響を受けたと感じる面はありますか。
平井 休日にもスポーツの現場にいるところは、やっぱり。心からスポーツを愛しているという姿勢ですね。単にキャスターとして伝えるだけじゃなくて、ベースに深い愛がある。それはすごく理想だと感じましたし、自分もその愛を持ちたいなと思わせてもらいました。
――平井さんが『すぽると!』を担当した6年半で得たものは大きかったのですね。
平井 そうですね。スポーツを好きになったというところが何より大きいです。五輪の現場を生で見させてもらったり、フルマラソンを走らせてもらったり。すべてが今の自分に繋がっていますし、あの20代がなかったら30代として過ごしたこの10年もなかったと思うほど、大きく覚醒させてもらった時期でした。
撮影=深野未季
〈#3に続く〉
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