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「毎回言われるから頭にきちゃって…」北口榛花、世界陸上メダル獲得の直前にケンカ勃発? チェコ人コーチとのただならぬ緊張関係《歴史的快挙の舞台裏》
text by
及川彩子Ayako Oikawa
photograph byGetty Images
posted2022/07/24 17:01
世界陸上日本人女子史上初、フィールド競技でのメダルを獲得した北口榛花
チェコの西側、ドイツとの国境にほど近いドマジュリツェという街に北口に会いに行った際、セケラックコーチは家族を紹介してくれた。
奥さんと2人の子供たちも日本から来た「ハルカ」に、本当の家族のように接していた。特に娘さんは、「ハルカ」が大好きで、チャンスがあれば一緒に練習し、ドリルをしたり、走ったりする仲だ。
ドマジュリツェではコーチの所有するアパートで暮らしているが、北口が快適に過ごせるような気遣いや「大事な娘さんを預かっているのだから」という夫妻の最大限の配慮が感じられる部屋だった。
父親が北口の遠征に同行し、家を離れることに寂しい思いもあるはずだが、2人の子供たちは「ハルカがんばって」と笑顔で送り出してくれる。
家族ぐるみで北口をサポートしてくれる。
「違う文化を受け入れることは簡単ではないと思うし、(コーチは)長い移動をして日本に来てくれたりする。チェコに家族もいるし、ほかに指導している選手もいる中でなかなかできないと思う。すごく感謝している」
銅メダルにも「完璧にできたイメージはない。物足りない」
北口は感謝の言葉を述べる。
「(決勝では)自分ではあまり完璧な投擲ができたイメージはない。物足りない」と北口が言えば、コーチも「67mは投げられる」と話し、息はぴったりだ。
来年はブダペストで世界陸上が開催される。
また1年、たくさん口論し、泣いて、笑って過ごすのだろう。また新たな目標に挑戦する2人を楽しみながら見守りたい。
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