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藤本隆宏52歳が振り返る”日本記録の過去”を消し去ろうとした俳優生活「水泳を避けるように生きていた」「記録が破られて未練が吹っ切れた」 

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松原孝臣

松原孝臣Takaomi Matsubara

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photograph byTakuya Sugiyama

posted2022/07/26 17:02

藤本隆宏52歳が振り返る”日本記録の過去”を消し去ろうとした俳優生活「水泳を避けるように生きていた」「記録が破られて未練が吹っ切れた」<Number Web> photograph by Takuya Sugiyama

NHKドラマ『坂の上の雲』広瀬武夫役などで知られる俳優の藤本隆宏。俳優となる前は水泳のオリンピアンでもあった藤本に話を聞くと…

テレビドラマのチャンスはないと思っていた

 そして舞台の世界でも少しずつ認められるようになったが、映像の世界には縁がなかった。

「この顔、体なのでテレビドラマのチャンスはないと思っていました。顔は濃ゆいし体が大きいし」

 ただ、それは思い込みに過ぎなかった。事務所の縁でオーディションを受けることができ、ついにテレビドラマへの出演を果たす。それが2009年からNHKで放送された『坂の上の雲』であった。主人公の親友である広瀬武夫中佐という重要な役を演じたが、堂々たる姿と演技は好評を博した。

「街を歩いていると声をかけられるようになりました」

 2011年には『JIN-仁- 完結編』に西郷隆盛役で出演する。そこには水泳の縁があった。

「ドラマのプロデューサーが石丸彰彦さんという方でした。出演が決まってから聞いたのですが、中学2年のとき、僕も石丸さんも同じ全国大会に出ていたのですね。私は両親が来ていたけれど石丸さんは一人で来ていて、両親が『ここに座りなさい』と誘ったんです。それが縁で『藤本さんのことはずっと見ていた』とおっしゃっていました。水泳がつないでくれた作品です」

 照れたように付け加えた。

「よけいなことをする両親なんです」

 その後も大河ドラマや朝の連続テレビ小説をはじめ出演が相次いだ。

【次ページ】 「金メダルならずっと水泳界にいたでしょう」

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