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ついに出たガッツポーズ…飛込・玉井陸斗(15歳)は一体何がスゴいのか?“ノースプラッシュ王子”の野望「パリでは金メダルを」
posted2022/07/31 06:00
text by
矢内由美子Yumiko Yanai
photograph by
KYODO
日本選手団の男子最年少選手として14歳10カ月で東京五輪に出場し、7位入賞を果たした逸材が、歴史を塗り替えた。水泳の世界選手権がハンガリー・ブダペストで開催され、高校1年生の15歳、玉井陸斗(JSS宝塚)が7月3日に決勝が行なわれた男子高飛び込みで銀メダルを獲得した。
世界選手権での日本男子のメダルは、'01年福岡大会で寺内健が3m板飛び込みの銅メダルを獲得して以来2人目。日本勢としては男女を通じて最年少でのメダル獲得という快挙だった。
「めちゃくちゃうれしいです」。大会を楽しんだことが伝わる笑顔だ。
抜群の素質を馬淵崇英コーチの指導の下で順調に伸ばし、さらに東京五輪を経験してからは技術も体力も格段に成長を遂げた。現在は、昨夏より身長が約5cm伸びて160cm。集中的に鍛えた下半身にはパワーが宿り、踏み切りの安定感が増した。元々定評のある空中姿勢の美しさに加えて、踏み切りで高さを出せるようになったことで演技に余裕が生まれ、入水の技術も向上している。
“ノースプラッシュ王子”のガッツポーズ
世界選手権決勝では、3本目に大技の「109C(前宙返り4回半抱え型)」を披露。全体で2番目の高得点となる99.90点を出した。圧巻は4位で迎えた最終6本目。自家薬籠中の技である「5255B(後ろ宙返り2回半2回半ひねりえび型)」を完璧に決めて95.40点を出すと、この時点で表彰台を確定させ、ガッツポーズを見せた。
これが後から演技をする2人の中国勢にとって重圧となり、最終演技者のヤン・ハオがミス。玉井はヤン・ジエンには及ばなかったが、見事に中国勢の間に割って入った。しかも、苦手とする後ろ宙返り系の技でミスが出たにもかかわらず、この結果。弱点を克服すれば可能性はどんどん広がる。
「(中国勢は)勝てるはずのない存在だった。1人には勝てなかったけど、1人に勝てて、今後につながる自信になった。パリでは金メダルを目指して頑張りたい」
今大会では、女子シンクロ板飛び込みで金戸凜&三上紗也可ペアも銀メダルに輝いており、飛び込み界全体が活気づいてきた様子。“ノースプラッシュ王子”の視界に、パリ五輪の頂点がはっきりと見えてきた。