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スポーツ百珍BACK NUMBER
PSGの《100万円VIP席》に座った記者が国立でビビりまくり体験「高級シャンパン飲み放題なの?」「クラシックを生演奏してる…」
text by
茂野聡士Satoshi Shigeno
photograph byWataru Sato
posted2022/07/23 11:05
PSGvs川崎フロンターレ「100万円席」に潜入してみた!
うーむ、やはり豪華なんだな新国立。そんな風に感じていると格調高い調べが。ふーん、クラシック音楽をBGMでかけてるんだ……と思ったら、違う。弦楽四重奏の生演奏なんですけど。その音に聞きほれるというか、自分の頭がついていかない数分間を過ごした。
「サッカー見たかったですけど、全然見られないですね(苦笑)」
フィールドに思わず視線を向ける若い男性コンシェルジュの等身大な声を聞きつつ、再びVIPルームに着くと後半キックオフの笛が鳴った。ちなみにフリードリンクの注文締め切りもこのタイミングだったらしい。
一般席に行こうとして、警備員さんビックリ
後半もPSGが力を見せつける中で、メッシがお膳立てした2点目を確認。そのタイミングで「やっぱり会場全体の雰囲気を見ておきたいなあ」と思い、警備員さんの「い、一般席の方に行くんですか??」という無言の視線を感じつつ、川崎のゴール裏席真後ろから終盤戦を見てみた。空調が効いていたVIP席から出た瞬間、蒸し暑い。いやでもなんだろう、クーラーなしでも何となく快適に過ごせる実家のような感覚がある。
フロンターレは過去5シーズンで4回のJ1制覇を成し遂げ、三笘薫や田中碧、守田英正ら日本代表の中軸メンバーを海外に送り出した。質の高いスタイルを体現しているだけに、サポーターの“審美眼”は高い印象がある。そんな彼らの応援している川崎がPSGの圧倒的な個人能力でねじ伏せられていく。ピッチの現象を声に出さず、じっと凝視する様子が印象に残った。その悔しさがあったからこそ、山村和也のゴールの時には、一段と大きな拍手が起きていたのだろう。
試合は2−1でPSGの勝利。夢見心地の3時間弱を終えて現実にふと戻り、思い出したことがある。前日に行われたE-1選手権の香港戦である。
あの試合、観客数は4980人だったという報道を見た。当初の開催地である中国から急きょ変更になり、さらには平日夜開催のカシマスタジアムというアクセス差が存在したのは否めない。とはいえ、観客数にこれほどまでの差がついた。PSG戦、人々を惹きつけたものって何なのだろうか。
「圧倒的なエンタメ」が必要なワケ
そういえば、2試合とも観に行ったという熱心な知り合いがいたな。その人に、ファン視点として何を感じたか聞いてみた。
「なんというか……“お祭りやフェス感”があるかどうかなんだろうね」
国立でのPSG戦にあったもの。それは「圧倒的なエンターテイメント」だった。