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高3で1500m日本新、”スーパー女子高生”小林祐梨子33歳は2児の母になっていた「ネギさして自転車漕いでるほうが”私らしい”」 

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荘司結有

荘司結有Yu Shoji

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photograph byYu Shoji

posted2022/07/21 17:01

高3で1500m日本新、”スーパー女子高生”小林祐梨子33歳は2児の母になっていた「ネギさして自転車漕いでるほうが”私らしい”」<Number Web> photograph by Yu Shoji

「スーパー高校生」として取り上げられてから約15年。小林が自宅でインタビューに応じた

 陸上のキャリアを終えたら、造園業を営むパートナーの生活を支えたい。引退して間もない頃から、すでにベクトルは夫との生活に向いていた。小林さんにとって14年間交際してきた同級生との結婚は、五輪出場とともに中学生の頃からの「将来の夢だった」と言う。

「現役の頃は強がりな性格」 だったが…

「結婚するって中学の時から一方的に決めていました。引退を発表した3カ月後くらいに旦那の実家の台所でプロポーズされて。旦那にはよく『根負けして結婚した』と言われますが……(笑)。私はこう見えて尽くすタイプなんです。社会人の頃はニット帽とかマフラーを編んで旦那に贈ったり。結婚式で私が作ったアルバムやカレンダーを飾ったら、『痛!』って爆笑されるくらい重い女だったんです(笑)」

 持ち前のマシンガントークで夫の愚痴を言いつつ、思い出を楽しげに語る表情は柔らかくて、幸せそうだ。2017年に第一子を出産し、昨年2月には第二子も生まれ、二人の息子の母として子育てに奔走している。息子たちが寝ている早朝に日課のランニングを済ませて、シャワーを浴び、「髪の毛を乾かすのを忘れたまま夜になっている」というくらい、忙しい日々を送るが、家族との生活は「五輪の舞台にも代えがたい時間」だと語る。

「母親になってからは『忘れんぼ母ちゃん』って呼ばれるんです。今日も長男と次男の通園カバンを逆に用意していたり、お箸を入れ忘れたり(笑)。現役の頃は強がりな性格で、結果が悪くても前向きなことを言ったり、言い訳を探して取り繕ったり、周囲が求める像を演じていた部分もあったけれど、家族といる時はあかんところもさらけ出して、本音で過ごせるんです」

自転車漕いでる自分のほうが私らしい

 引退直後の「旦那を支えなあかん」との固定観念から、現在は「自分の新しい可能性を探る」と徐々に思いがシフトしつつある。駅伝やマラソンの解説者として重宝され、ラジオパーソナリティーやテレビ番組のゲストなど、陸上とは離れたチャレンジも重ねてきた。それらの経験によって「私が過ごしてきた世界は、どれだけ狭かったんだろう」と大きな気づきを得た。

「私にとっては陸上がすべてだったので、引退直後は『早咲きアスリートの小林』と揶揄されるのではないかと不安でした。でもいざ広い社会に出てみると、周りは目の前の生活に忙しいし、私の動向なんて大して気にしていないんですよね。引退までの4年間、自分で自分の首を絞めて、過去の栄光にとらわれていたんだと思いました。むしろ今は日本記録の映像を見るのが恥ずかしいくらい。過去の栄光を晒したくないというか……。最初は自分が家事なんて『おままごと』みたいと思っていたけれど、今はネギとかゴボウをレジ袋にさして、自転車漕いでる自分のほうが『私らしい』って思えるんです」

<後編/#2に続く>

#2に続く
「少年院は引退後の夢を叶えてくれた場所」元”スーパー女子高生”小林祐梨子が後悔する現役時代「”できません”のたった5文字が言えなかった」

記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。

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