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アントニオ猪木の延髄斬りに三沢光晴の“あの技”も…オカダ・カズチカが『G1』開幕戦で見せた進化「オレもモンスターだな、と」
text by
原悦生Essei Hara
photograph byEssei Hara
posted2022/07/19 17:11
7月16日の『G1 CLIMAX』開幕戦。オカダ・カズチカは延髄斬りをジェフ・コブにお見舞いし、エメラルド・フロウジョンまで披露した
オカダは進化という言葉を使った。それは外に向けての意外性という意味も含んでいるはずだ。オカダが「まさか」と思ったように、コブも「まさか」を感じただろう。延髄斬りからエメラルド・フロウジョン、猪木技から三沢技という新しい流れが生まれた。それでもオカダは、どちらの技でもフォールにはいかずに、フィニッシュはレインメーカーだった。
「ジェフをあそこまで持ち上げられたっていうのは、オレも力あるなと。オレもモンスターだな、と。ある意味、Aブロックのほかの選手もビックリするような戦いができたんじゃないかと思います」
オカダはこう言って自信をのぞかせた。
「公式戦の数は減りましたけど、そういう意味では体調は整えやすくなりましたし、ケガが少なく、いいコンディションで戦えるんじゃないかと思います。けど、それは相手も同じことなんで。一概に試合数が減ったからよかったということはないですし、そこはみんな、何ブロックになっても同じ条件。勝つってことしかないんで、しっかりと勝っていきたいなと思います」
「ただ勝つだけじゃつまらないので」とガウンを新調
オカダはこの日、赤色の新しいガウンをまとって入場した。入場口のライオンマークの前に姿を見せた瞬間、このG1にかける意気込みが伝わってきた。ガウンには少し抑え気味の赤にゴールドがあしらわれている。タイツも同じ色調で、黒いリングシューズには赤いヒモが通っている。
「コスチュームを変えて、自分の気を引き締めるのもそうですし、お客さんに喜んでもらう。ただ勝つだけじゃつまらないので、ひとつでも何か楽しめたらと思って。でも今日、改めてそのカラーリングを見て気が引き締まりました」
これまでの白いガウンと同様に、赤いガウンにも新日本プロレス50年の歴史を記した文字が刻まれている。
「ボクはもう、リング上で戦って勝つってことしか考えてないんで。この10年で見え方としては変わってきていると思います。でも、昔から変わらないのは、勝つっていうその一点を目指してやっているってことですね」