プロレス写真記者の眼BACK NUMBER
アントニオ猪木の延髄斬りに三沢光晴の“あの技”も…オカダ・カズチカが『G1』開幕戦で見せた進化「オレもモンスターだな、と」
posted2022/07/19 17:11
text by
原悦生Essei Hara
photograph by
Essei Hara
その延髄斬りは、5月に内藤哲也に放ったものよりも高かった。7月16日の新日本プロレス、札幌・北海きたえーる大会。オカダ・カズチカは『G1 CLIMAX』開幕戦のメインイベントでジェフ・コブと対戦した。
7人×4ブロック制ということで、1人が戦うリーグ戦はそれぞれ6試合しかない。オカダのAブロックには他に矢野通、トム・ローラー、ジョナ、ランス・アーチャー、バッドラック・ファレがいる。難敵コブとの初戦を落とすと厳しい展開になる。
コブはオカダとの過去の戦いでもオカダの技を巧みに繰り出して切り返している。カウンターのドロップキックも、コーナー上の相手へのドロップキックも「どうだ」と言わんばかりに放つ。オカダの株を奪うようにラリアットもいいタイミングでぶち込んだ。
「また、オカダやられちゃうのか」とも思った。だが、オカダをよく研究しているコブでも、まだタイミングがつかめていないものがあった。それが延髄斬りだった。
オカダ・カズチカが繰り出した三沢光晴の“あの技”
高くジャンプしたオカダが延髄斬りを放った。続けてオカダは意外な技を繰り出した。あの三沢光晴のエメラルド・フロウジョンのように、キャンバスにコブをたたきつけたのだ。これには観客席がどよめいた。最後はいつものようにレインメーカーだったが、コブの研究が及ばないところでの勝利だった。
「ジェフが進化しているように、ボクも進化しています。想像できないような技が出て。上からも投げられましたし、自分では重たいと思っているのに、あんなに紙飛行機のようにポンポン投げられたら、ちょっと自信をなくします。でも、そういう中でも、しっかりと受け身が取れた。きついですけれど、これがG1だなと」