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《単独インタビュー》「絶対に走って力を証明したい」低迷するホンダで奮闘の中上貴晶が、MotoGPシート喪失報道の渦中で明かした本音
posted2022/07/19 06:00
text by
遠藤智Satoshi Endo
photograph by
Satoshi Endo
シーズン前半の11戦を終えて総合16位。第6戦スペインGPと第7戦フランスGPの7位を最高位に苦戦が続く中上貴晶が、今月上旬、その思いを語った。
今年はMotoGPクラスに参戦して5年目のシーズン。開幕前の目標は「毎戦表彰台争いがしたい」というものだったが、そんな思いとは裏腹に、予選、決勝でトップ10にもなかなか入れないという状態が続く。
思いもしない低迷に苦しむ中上だが、要因のひとつは2022年型ホンダRC213Vの大低迷にある。今季のホンダはMotoGPクラスのマニュファクチャラーズランキングで最下位6番手と、常勝時代を知る者にとっては信じられない成績に甘んじている。そんな状況下で、「中上は来季はLCRホンダ・イデミツのシートを失い、ホンダのテストライダーになる」と既成事実のように報道されている。そうした報道を中上は、どんな思いで聞いているのだろうか。そのことを最初に聞いた。
あと1年か2年はMotoGPでしっかり走りたい
「今年は正直、一番辛いシーズンになっている。ウインターテストを終えたときには、もっと順調に階段をあがっていけると思っていて、この状況は予想もしていなかった。加えて、来年、僕はホンダのテストライダーになるといろんなところで書かれている。いま僕は、契約先のHRC(ホンダ・レーシング・コーポレーション)と来年の話をしているが、あと1年か2年はMotoGPでしっかり走りたい、レギュラーライダーとして残りたい、と自分の気持ちは伝えていて、答えを待っている状態。ホンダには現状、イエスともノーとも言われていない。それなのに、なんで僕がテストライダーになると決定事項のように書かれているんだろう。すごく不思議」
来季LCRホンダ・イデミツは、今季Moto2クラスでチャンピオン争いを繰り広げる小椋藍を起用するとも報じられている。LCRホンダ・イデミツはチームとライダーの契約という形態ではなく、簡単に言えば、ホンダが支配下のライダーを起用している。そのため、レプソル・ホンダのマルク・マルケス、ポル・エスパルガロ、LCRホンダ・カストロールのアレックス・マルケスら他のホンダ勢とは、契約の形態も発表の時期も異なる。
シーズンはすでに中盤戦に入り、MotoGPクラスの来季の体制がどんどん決まりつつある。LCRホンダ・イデミツのライダー発表は、通例なら3年ぶりの開催となる9月の日本GP前後が予想される。果たして中上の継続はなるのか。あるいはアジアタレントカップからの育成ライダーとして大きな成長を遂げた小椋を抜擢するのか。もちろん、小椋の意向もあるだろうから、最終決定にはまだまだ時間がかかりそうだ。渦中の中上は小椋をどう見ているのか。