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「いま決断しろと言われたら断ります」小椋藍はMoto2残留の意思固く、中上貴晶が来季もMotoGPに継続参戦決定か
posted2022/08/11 17:00
text by
遠藤智Satoshi Endo
photograph by
Satoshi Endo
シーズン後半戦のスタートとなった第12戦イギリスGPで、Moto2クラスでチャンピオン争いを繰り広げる小椋藍が4位になり総合3位から2位へ浮上した。だが、内容は小椋藍自身、素直に喜べるものではなく、「ランキングは上がったけど、点差は1点から13点にひらいた」と、やや不満げな表情だった。
シーズン前半の11戦を終えた時点でのランキングは、総合首位のチェレスティーノ・ビエッティと総合2位のアウグスト・フェルナンデスが同ポイント。小椋はわずか1点差の3位だった。イギリスGPでフェルナンデスが優勝して首位、4位の小椋が13点差で2位に浮上。総合首位のビエッティは6位に終わり、小椋と2点差の3位に降格した。トップ3の順位に変化はあったが、3人のチャンピオン争いという構図に変化はなく、これからも一進一退の戦いが続きそうだ。
チャンピオン争いと密接に関係してくるのが、Moto2クラスからMotoGPへのスイッチで、3選手ともに来季はMotoGP参戦の可能性がある。その中でも小椋は、中上貴晶の後継者として出光がスポンサーとなるLCRホンダ・イデミツ入りの可能性が高いと盛んに報じられている。
すでに7月の夏休み期間中には、来季グレッシーニRTに移籍するアレックス・マルケスに代わり、今年を最後に撤退するスズキのアレックス・リンスのLCRホンダ入りが発表された。さらにイギリスGPでは、LCRホンダのルーチョ・チェッキネロ監督が、もうひとりのライダーについて、「ホンダと協議しながら中上もしくは小椋のいずれかを起用することになるが、特に中上に関しては、この2、3レースの結果がとても重要になる」とコメントした。
小椋がMoto2にこだわる理由
LCRホンダは他チーム同様1チーム2名体制だが、異なるスポンサーでふたりの選手を走らせる異色チームである。そのうちの一枠は、スポンサーの出光の意向を考慮しながらホンダ支配下の選手を乗せるというもので、チェッキネロ監督の発言は来季の中上の継続、もしくは出光がサポートしてきたホンダの育成ライダーの小椋の起用に絞られたことを示唆している。
これまで僕は小椋と来季について何度も話をした。そして「来季、ホンダからMotoGPの話が来たらどうするの?」という僕の問いかけに彼はいつもこう答えてくれた。