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山崎康晃29歳が開幕戦リリーフ失敗で抱いていたクローザー返り咲きへの手応え「あっ、今年やれるな。ここでもう一度輝けるかもしれない」
text by
石塚隆Takashi Ishizuka
photograph byNIKKAN SPORTS
posted2022/07/18 11:04
5月31日のオリックス戦。この日は始球式にも参加し、9回を抑え9セーブ目。山崎に始まり、山崎で終わった試合となった
「この2年、僕がなかなか上手く行かなくなると心配をして一言声を掛けてくれたり、また三嶋さんからも疑問があると『どう思う?』っていろいろ訊いてきてくれて、本当に気さくだし苦しいときに頼りになる先輩なんです。戦列を離れている今、同じポジションを投げる人間として三嶋さんが大変な思いをしているのがわかるので、非常に胸が苦しいというか……。ブルペンにとって三嶋さんは大きな存在ですし、僕自身、切磋琢磨することで成長できると思っているので1日も早く戻ってきて欲しいし、それはブルペンにいる全員が願っていることです」
今季はここまで31試合に登板し、19セーブ、防御率2.05(データは7月16日現在、以下同)とクローザーとしての務めを果たしているが、初登板となった3月27日の広島戦(横浜)では救援に失敗し、いきなり黒星を喫してしまうスタートだった。
あっ、今年やれるな
5対4で迎えた9回表、2アウト満塁から西川龍馬に走者一掃となるセンター越えの三塁打を食らい逆転されてしまう。暗雲垂れ込めるシーズンの始まりと感じたものだが、意外にも山﨑本人はこの一戦に手応えを感じていた。
「チームに迷惑をかけてしまい申し訳ないと思っていますし、悔しさも残っているのですが、僕個人のこととして話すと、あの登板で『あっ、今年やれるな。ここでもう一度輝けるかもしれない』と感じたんです」
その手応えについて山﨑は説明をする。
「まずは過去2年間には見られなかったバッターの反応ですよね。明らかに違ったし、これだったら行けるんじゃないかって。決勝打を打たれた西川選手からも、僕のボールに食らいつくような反応が見られました。実際、試合後に西川選手が『ヤスさんの強いボールが戻ってきた』と言っていたことも含め、向こうも同じことを感じていてくれたんだって。だから本当に自分の持っているもので戦える、と自信を持つことのできた登板だったんです」
取り戻したのか、新しい自分になったのか
結果だけ見れば救援失敗だったが、山﨑にとっては前半戦のハイライトとなる一戦だった。真理は、勝ち試合や抑えたピッチングのなかにのみあるものではない。