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山崎康晃29歳が開幕戦リリーフ失敗で抱いていたクローザー返り咲きへの手応え「あっ、今年やれるな。ここでもう一度輝けるかもしれない」 

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石塚隆

石塚隆Takashi Ishizuka

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photograph byNIKKAN SPORTS

posted2022/07/18 11:04

山崎康晃29歳が開幕戦リリーフ失敗で抱いていたクローザー返り咲きへの手応え「あっ、今年やれるな。ここでもう一度輝けるかもしれない」<Number Web> photograph by NIKKAN SPORTS

5月31日のオリックス戦。この日は始球式にも参加し、9回を抑え9セーブ目。山崎に始まり、山崎で終わった試合となった

 その後、山﨑はコロナによる離脱もあったが、抑えて当たり前といった風情で淡々と仕事をこなしセーブを重ねていった。

 3年前、絶対的守護神として君臨していた時代とは違った景色が見えているのだろうか。自分を取り戻したのか、あるいは新しい自分になることができたのか。

「うーん、その両方ですよね。帰ってきたなって感覚もありますし、またこの2年間のセットアッパーの経験も決して無駄ではなかったなって。グラウンドで葛藤を抱きながら過ごしたことや、また野球以外のことでも苦労したことがありました。そのすべてが財産だと今は思っていますし、確実に言えるのは以前の自分よりも少なからず成長できているってことですよね」

数字にも現れる意識の変化

 紆余曲折を経たことで心身ともにスケールアップをした山﨑。成績の面でそれが顕著に表れているのが、セイバーメトリクスの『WHIP』の項目だろう。これは『1イニングで何人の走者を許したか』といった指数であり、山﨑は0.62というリーグトップクラスの数字を残している。つまり1イニングを打者3人で終えるケースが多いということでもある。

 入団からセーブ王を獲得していた時代、山﨑は走者を出してしまうことがわりと多かった。結果的には抑えるのだが、当時山﨑に訊いても「最後にゼロで終われればいい」と、ランナーを抱えることは仕方がないといった様子だった。しかし今は違う。この変化について山﨑は次のように見解を述べた。

「たしかに三浦監督には投手コーチ時代から『3人で終わってくれ』とずっと言われていましたし、また筒香(嘉智)さんからも『しっかり目標をもって終わりなさい』と諭されてきました。僕自身やっぱり3人で終えるのが理想だと思うし、それは次の試合に繋がることだと思うんです。今はバッター一人ひとりに向き合えているし、投げるボール以外の部分でも考えているというか、それが上手く行っているような気がします。少なくとも以前よりは『3人で終わらせたい』という気持ちは強くなっていますね」

今年ほど誰かのためにがんばりたいって強く思ったことはない

 今季、このピッチングを可能にしているのがストレートの質の良さだろう。切れのあるボールを、コースを間違えることなく、きっちりと両サイドに投げ込めている。

【次ページ】 僕も8年目ですから…

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