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NPBスカウトの間で“無名の大型左腕”が急浮上? 進学校から目指す“ドラフト指名”「育成でもいいからプロに行きたい」 

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高木遊

高木遊Yu Takagi

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posted2022/07/10 17:01

NPBスカウトの間で“無名の大型左腕”が急浮上? 進学校から目指す“ドラフト指名”「育成でもいいからプロに行きたい」<Number Web> photograph by Yu Takagi

スカウトが注目する大型左腕・伊藤匠海投手(川越東高3年)。表情にはまだあどけなさも残るが、「プロ志望」という明確な目標を掲げる

 実は1年秋の頃から腕や肩にしびれを感じ始め、「胸郭出口症候群」と診断された。しばらくは保存療法にしていたが、投球数が50球を超えると握力が低下するなどパフォーマンスにも強く影響が出るようになったため、昨年11月に手術を決断。野中監督とかねてから交流があり、数多くの野球選手を治療してきた古島弘三医師のもとでメスを入れることとなった。

 リハビリ期間は下半身を重点的に鍛え、フォーム固めに全力を注いだ。野中監督ら指導陣も伊藤の復帰を焦らず、春の県大会もベンチ入りメンバーから外したことで、しっかりとトレーニングに集中させた。そうした伊藤本人、監督ら指導陣の“忍耐強さ”がこの夏に向けて実を結び始めているというわけだ。

 評判を聞きつけたスカウトたちも伊藤に対して軒並み高評価をしており、特にフォームについての賞賛が並ぶ。

「しっかり立って、テイクバックもクセがないですし、腕の振りが一定しているからボールのバラつきが少ない。体が細く怪我で投げ込みはできていないようですが出力が上がったら楽しみ」

「体重移動も良いし肩・肘も上手く使えています。身長もあって脚力もあるので、期待して県大会も観に行きます」

 取材当日はブルペンに入って投球練習をしていたが、大型投手にありがちな不安定さは感じさせず、しなやかな腕の振りからキレの良いストレートとカーブ、スライダーといった変化球がミットに吸い込まれていくのが印象的だった。

目標の投手はDeNA今永

 そして、何より“落ち着き”が頼もしい。進路志望にも揺るぎはない。

「プロ野球は小さい頃から目指している舞台なので高校から行けるなら行きたいですし、より高いレベルでの指導も受けてみたいです。夏はすごく楽しみでドキドキしています」

 そう笑顔で語る表情はまだあどけなさも残るが、言葉一つひとつに迷いがなく芯の強さを感じさせる。

 目標の投手には「ピンポン玉を投げるような感覚と言っていたことを参考にしています」と今永昇太(DeNA)を挙げた。

 数ある選択肢の中から最適な進路を「プロ野球」だと自身で見定めた。もちろん、今年に入ってからの公式戦登板はこれからで、評価は未知数な部分が大きい。それでもこの夏、伊藤匠海は自らの腕で自らの未来を切り拓く覚悟を持って、埼玉大会のマウンドに上がる。

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