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NPBスカウトの間で“無名の大型左腕”が急浮上? 進学校から目指す“ドラフト指名”「育成でもいいからプロに行きたい」

posted2022/07/10 17:01

 
NPBスカウトの間で“無名の大型左腕”が急浮上? 進学校から目指す“ドラフト指名”「育成でもいいからプロに行きたい」<Number Web> photograph by Yu Takagi

スカウトが注目する大型左腕・伊藤匠海投手(川越東高3年)。表情にはまだあどけなさも残るが、「プロ志望」という明確な目標を掲げる

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 有望な高校生の進路志望でよく聞くのは「学力に自信があるからまず大学に進み、そこからプロ入りを目指す」もしくは「学力や経済力で厳しい部分があるので育成選手でもプロに行きたい」というもの。もちろん一概に言えないが、近年ではその定説も崩れつつある。今年目立つのが、進学校に通いながらも「高卒プロ」を志す選手たちだ。

 伝統ある福岡の県立進学校・東筑高の高崎陽登(3年)や埼玉の浦和麗明高で難関国公立大進学を目指す特選コースに在籍する吉川悠斗(3年)は、夏前の段階ですでにプロ志望を表明。いずれも貴重な左腕とあって、今後は一層高い注目を集めていくことだろう。

 そしてもう1人、春が終えてから突如としてNPBスカウトの間で話題になっているのが、川越東の大型左腕・伊藤匠海(3年)だ。埼玉エリアを担当する目利きたちがこぞって伊藤の視察に訪れている。

文武両道を掲げる川越東、OBに巨人・高梨ら

 同校は偏差値70前後を誇る進学校。附属中学を持たず、最寄り駅からのアクセスも決して良いわけではないが、高い進学実績と文武両道の方針を掲げていることで人気を博す私学男子校である。

 野球部には現在、部員133人が在籍。甲子園出場こそないが、2013年夏に強豪が揃う埼玉大会で準優勝、15年春には関東大会準優勝と躍進。その後も県大会8強や4強進出も珍しくない。さらに野球部部員の進学実績も良く、2年前には東大合格者も生まれた。OBには高梨雄平(巨人/早大OB)、高橋佑樹(東京ガス/慶大OB)、藤野隼大(Honda/立大OB)、高波寛生(関西学院大)と、名門大に進み野球を続けている。

 そんな川越東で最も期待を集める伊藤は、「育成でもいいからプロに行きたい」と進路を明確にして努力を続けている。

【次ページ】 野球好きの祖父「投手やるなら左がいい」

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