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「予想は当たってた」「3着変なん来い!変なん来いっ!」園田競馬の“異色すぎるガイド漫画”誕生の経緯とは? 元厩務員の作者に直撃
text by
曹宇鉉Uhyon Cho
photograph byKYODO/Masakazu Tamura/Sonoda Himeji Keiba
posted2022/07/10 06:00
ナイターも開催され、近年好調な売上を記録している園田競馬。同HPで公開されている『園田競馬ビギナーズガイド』の作者・田村正一さんに話を聞いた
サラブレッドと共に生きる以上、小さな怪我や冷や汗をかくことは日常茶飯事。さまざまなリスクを伴う仕事のなかで、どんな瞬間にやりがいを感じていたのだろうか。
「やっぱりレースで無事に走ってくれるのが一番の喜びでしたね。特に2歳からずっと担当している馬が勝ってくれたときは本当に嬉しかった。馬の方も親身になって世話をしている厩務員のことは覚えていますし、僕しか鞍がつけられない、みたいな馬もいました。基本的に、馬からは好かれる仕事だと思います」
元厩務員の“相馬眼”は「馬券には役立ちません(笑)」
厩務員としての経験を活かした心あたたまるエピソードが多い『サラブレッドと暮らしています。』や『うまのしごと』に対して、『園田競馬ビギナーズガイド』では切れ味鋭いギャグを織り込みながらファン目線で競馬の楽しみ方を解説している。2022年に公開された新作も、
「彼の馬券を買って!! 私の力でナンバーワンにしてあげたい!!」
「3着変なん来い!! 変なん来いっ!!」
などのパンチラインが頻出。「元々ギャグ漫画ばかり描いていた」という田村さんの筆が冴えわたった、笑いどころ満載の一作となっている。
現在は厩務員の仕事から離れ、いちファンとして競馬を楽しんでいる田村さん。10年以上にわたってサラブレッドと密接に関わることで培った“相馬眼”が、馬券に活かされている部分はあるのだろうか?
「パドックで厩務員の挙動や、装着している馬具を観察することはありますね。ただ、それで的中率が上がるかというと……。たとえば中央のGIなんて、当たり前ですけど全部の馬がめちゃくちゃよく見えるんですよ(笑)。まったく馬を知らない人に比べれば少しはわかる部分もあるかもしれませんけど、まあ、ほとんどプラスにはなっていないと思います(笑)」
近年、若年層にも広がりつつある競馬人気。中央競馬と比べると注目を浴びる機会の少ない地方競馬も、各主催者が試行錯誤を重ねて売上を伸ばしてきている。漫画を通じて認知度アップに貢献している田村さんに、あらためて園田競馬の魅力を教えてもらった。
「アットホームというか、ファンと馬、ジョッキーとの関係性が近い感じがいいですよね。スタンドはリニューアルを経てすごく綺麗になりましたし、明石家のタコ天も相変わらずおいしい(笑)。ネットで手軽に馬券を購入できる便利な時代になりましたけど、ぜひ足を運んで現地の空気を味わってほしいです」
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