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「史上最強の女流棋士は誰か?」里見香奈(30歳)vs西山朋佳(27歳)“負けない”二強時代、ライバル関係について2人に質問してみると…
posted2022/07/02 11:02
text by
相崎修司Shuji Sagasaki
photograph by
Sankei Shimbun
「史上最強の棋士は誰か?」
将棋ファンの中で論議が尽きないテーマである。候補として名前が挙がりそうな棋士は、それぞれのファンの中に数多くいるだろう。
ではちょっと視点を変えて「史上最強の女流棋士は?」というと、現在、女流棋界の最前線で戦っている2人は有力な候補と言える。いうまでもなく里見香奈女流四冠と西山朋佳女流二冠だ。
2022年度が始まってから、すぐさま両者はマイナビ女子オープン(タイトル名は女王)と女流王位戦、2つの女流タイトル戦で番勝負を争った。この4~6月だけで両者は10局も指している。年度同一カードの最多記録が、00年度に谷川浩司十七世名人―羽生善治九段戦で、05年度に羽生九段―佐藤康光九段戦で記録された23局なので、それを更新する勢いである。
里見は「週に2度対局することもありましたので、多いのは実感していました」
西山は「今年は里見さんと今までで一番指しているなという感覚があります」
と、それぞれ語る。
春の十番勝負の結果は里見が女流王位を、西山が女王を、両者がそれぞれ保持するタイトルを防衛した。この間に行われた清麗戦の挑戦者決定戦で里見が勝ったことを考えると、ここでは里見の判定勝ちというところだろうか。
だが両者の戦いはこれで終わりではない。今年1年はおろか、向こう10年間で女流棋界の頂上を争うことになってもおかしくない。改めて、両者のライバル関係について見ていきたい(文中のデータは6月29日現在)。
「9勝1敗」ほとんど負けない2人
まず、両者の直接対決は女流棋戦で37局行われ、里見の19勝18敗である(他にNHK杯で3局、叡王戦で1局があり、2勝2敗)。タイトル戦番勝負の結果は、西山の5勝3敗だ。両者が初めてタイトル戦でぶつかった2019年のマイナビ女子オープン以来、当初は西山が4連勝していたが、その後里見が3連勝で盛り返す。そして直近のマイナビ女子オープンで西山が里見を破り、永世女王の資格を得たのは記憶に新しい。