そして最近の両者は直接対決を除くと、ほとんど女流棋戦で負けていない。里見の対西山戦及び西山の対里見戦を除いた両者の直近10対局はともに9勝1敗である。

　西山が本格的に女流棋戦に参加し始めたのは、女流棋士へ転向した21年からのことだが、転向後の成績をみると、

　白玲　タイトル獲得
　清麗　挑決敗退
　女王　タイトル防衛
　女流王座　タイトル失冠後、トーナメントを勝ち上がり中
　女流名人　女流名人リーグ入りし、2勝1敗
　女流王位　挑戦失敗
　女流王将　タイトル失冠後、トーナメントを勝ち上がり中
　倉敷藤花　トーナメントを勝ち上がり中

　と、ほぼすべての棋戦でタイトル戦に絡んでいる。今期が初参加である女流名人戦と倉敷藤花戦でも挑戦の有力候補であることは間違いのないところだ。

昨年12月、西山の白玲就位式で　©Sankei Shimbun

里見vs西山、タイトル戦全カードコンプリートは実現する？

　対して現在の里見はというと、

　白玲　挑戦まであと1勝
　清麗　タイトル挑戦
　女王　挑戦失敗
　女流王座　タイトル保持
　女流名人　タイトル失冠後、女流名人リーグで3勝0敗
　女流王位　タイトル防衛
　女流王将　タイトル保持
　倉敷藤花　タイトル保持

　と、こちらも負けず劣らずだ。8大タイトルのうち、里見が四冠、西山が二冠を持っているのだから当然と言えば当然なのだが。

　なお、里見は白玲戦を除く7大タイトル戦全てに出場経験があるが、その全ての舞台で里見と番勝負を戦った経験があるのは加藤桃子清麗だけだ。西山は女王、女流王座、女流王位、女流王将、伊藤沙恵女流名人が女流名人、女流王位、女流王将、倉敷藤花、清水市代女流七段が女流王座、女流名人、女流王将、倉敷藤花の4棋戦で、里見とタイトル戦番勝負を戦っている。

一昨年11月、里見の清麗就位式で　©Sankei Shimbun

　タイトル戦全カードコンプリートは女流四冠時代に、清水市代女流七段―中井広恵女流六段のカードで達成されているが、2008年にマイナビ女子オープンが創設されて以降は実現していない。上記の里見―加藤の7棋戦が最多である。男性棋士を含めても、三冠時代に大山康晴十五世名人―升田幸三実力制第四代名人、五冠時代に大山ー二上達也九段と大山―中原誠十六世名人、六冠時代に中原―米長邦雄永世棋聖、七冠時代に谷川十七世名人―羽生九段がそれぞれ記録したのみだ。

里見が受ける「棋士編入試験」、西山に可能性は？

　では、両者それぞれの実績をみてみよう。まず女流タイトルの獲得数は里見が48期で、対して西山は10と大きな差がついている。こればかりは女流棋戦に参加したキャリアが段違いなので致し方ないところだろう。

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