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カンボジア国籍で五輪出場、猫ひろし44歳が今明かす“大バッシング”の真相「今後は五輪を目指すつもりも、国籍を戻すつもりもない」
text by
音部美穂Miho Otobe
photograph byShiro Miyake/Getty Images
posted2022/06/24 11:03
2016年のリオデジャネイロ五輪にカンボジア代表として出場したお笑い芸人の猫ひろし
「五輪を目指すつもりも、国籍を戻すつもりもない」
リオ五輪に続き、東京五輪への出場も目指したが、代表選考に大きな影響を与える2019年の東南アジア大会でケガが響き、失速。出場は叶わなかった。
「今後は、五輪を目指すつもりはない」と明言する猫。それならば、カンボジア国籍はもう必要ないのでは? と、水を向けると「国籍を日本に戻す予定もない」と言い切った。
「僕は、国籍を変えて世界が広がった。五輪に出られたし、カンボジアの若い選手たちとも交流し、彼らの置かれた環境についても知ることができた。
だから、これからは“猫の恩返し”じゃないですが、カンボジアに対して自分ができることを考えていきたい。
カンボジアでは、マラソンはまだまだメジャースポーツではないこともあって、日本に比べて練習方法や栄養面などの知識も遅れている。日本の練習法を知りたいという選手もたくさんいます。
だから、将来的には、カンボジアで指導者となって、僕が日本で学んだ練習法などをカンボジアの選手に教えるのも一つの道だと思う。
もちろん、身体が続く限りはランニングはやり続けるし、タイムにも挑戦し続けたい。今後は、芸人としてカンボジアのテレビにも出てみたいですね」
元日本人の僕がカンボジア人であり続ける意味
“恩返し”の一環として、猫はカンボジアに定期的にランニングシューズを寄付している。サイズが合わなかったり、中古のシューズでまだ使えるものを日本のランナーに寄付してもらい、それを渡航の際に自分で持って行くのだ。今は、コロナの影響でなかなかカンボジアに戻れないが、今夏にでも渡航し、たまったシューズを持っていきたいと語る。
「ランニングシューズは高価なので、すごく喜ばれる。郵送すると、途中で盗まれたりして選手に渡らないので、自分で持って行って直接手渡すんです。
そうやって小さなことでもいいから、自分だからこそできることを探して積み重ねていけたなら、元日本人の僕がカンボジア人であり続ける意味は、必ずあると思うんですよ」
7月2日(土)、「猫ひろしトークDEショーvol.17 くだRUNマラソントークライブ『伝説の半日』」が開催(19時~、渋谷LOFT9)。ゲストは元駿河台大学の今井隆生氏。
記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。