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武豊と悲願の凱旋門賞へ…ドウデュースの松島オーナーが明かす“あのダービー”「千両役者やなあ」「武君と夢を共有して…いい人生だな」
text by

島田明宏Akihiro Shimada
photograph byKeiji Ishikawa
posted2022/06/25 17:01

今年のダービーを制したドウデュースと武豊。オーナーの松島正昭氏に話を聞いた
その後、毎日のようにダービーのリプレイ映像を見ているという。
「ウイニングランをしたときとか、ユタカコールに迎えられたときとか、武君の仕草や、何か動きがあったときの間などを何回も確認して『千両役者やなあ』と余韻に浸り、嬉しくて仕方がありません。朝日杯のときも感動しましたけど、ダービーとなると、世間の反応が違いますね。一夜にして人生が変わりました。これで胸を張って凱旋門賞に行けます。本当に、こんなことがあるんですね。もし皐月賞を勝ってダービーで負けていたら、ジャックルマロワ賞かアイリッシュチャンピオンステークスあたりにターゲットを切り換えていたかもしれません」
凱旋門賞はダービー馬対決へ「注目されてほしい」
日本ダービーをドウデュースが制した翌週、6月4日に行われたエプソムダービー(英国ダービー)をデザートクラウンが2馬身半差で完勝。6月5日のフランスダービーをヴァデニが5馬身差で圧勝した。今年の日・英・仏のダービー馬は、みな強い。
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「イギリスとフランスのダービーも見ていました。武君と凱旋門賞を勝ちたいと言っているからには世界の競馬を知っていないといけないので、ここ何年かで見るようになったんです。今年の凱旋門賞は、ダービー馬対決になりますね。せっかく出るのだから、有力馬の一頭として参戦したい。夢のようだと思う一方で、注目されてほしいと思っています」
武もいつもGIに臨むとき、人気になってほしいと言う。強いと思われている馬で出たいのだ。それはおそらく「王者としての戦い方」を心得ているからだろう。
「実は、昨日、ドウデュースが誘拐される夢を見たんです。面白かったですよ(笑)。犯人はどこに隠したんやろう、と。テレビで誘拐事件を扱った『マイファミリー』を見ているからですかね」
こうしてジョークで場を和ませるあたり、同じようにウイットの利いた言葉づかいをする武に通じるものがある。
「ドウデュースのいいところは、足が速くて、おとなしくて、賢いところです。ハーツクライ産駒として2頭目のダービー馬なんですが、1頭目のワンアンドオンリーは、馬自身も、乗っていた横山典弘騎手も、生産者のノースヒルズ代表の前田幸治さんも、観戦されていた天皇陛下(当時は皇太子)も同じ2月23日生まれだったでしょう。実は、僕もそうなんです。で、ドウデュースは5月7日生まれなのですが、うちの家内と一緒なんです。それは買ってから気づいたのですが、セレクトセールなどで馬を選ぶとき、誕生日はけっこう見ますよ」
「武君と夢を共有して…いい人生だなと思います」
そう話す松島氏は、所有馬のローテーションや乗り方などについてどこまで関与しているのか。
「すべてプロに任せています。ローテーションは調教師さんが決めますし、騎手に指示を出したこともありません。出す出さないを考えたこともないです。相手はプロやのに、僕がそんなことをしたら失礼やし、怒られますよ」