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女子バレー石川真佑「趣味を持ちたい」その理由は? 好調8連勝の眞鍋ジャパンの中で22歳アタッカーが苦しむ“新しい壁”とは?
text by
田中夕子Yuko Tanaka
photograph byAFLO SPORTS
posted2022/06/20 17:00
ネーションズリーグ無傷の8連勝と好調のチームとは裏腹に、新たな壁に直面している石川真佑(22歳)
セットカウント3対0で勝利を収めて6勝目を挙げたブルガリア戦。第3セットを16対11と日本が5点をリードした場面で投入された。
その前に、終盤まで競り合いが続いた第1セット、21対20でリリーフサーバーとして投入されていた石川は、サービスエースを含む4連続得点を挙げており、勢いはある。
何より、自信を取り戻すには絶好のチャンス。気合は十分だったが、それが気負いに転じた。
石川は8本のスパイクを放ったが、相手にレシーブされたのが4本。被ブロックやアウトを含む失点が4本。1本も決めることができず、24対23と1点差に詰められ、井上と交代した。
石川の葛藤とは裏腹に、ストレート勝ちを収めた日本の選手たちはコート上で勝利を喜んだ。石川もその輪に加わるも、足取りは重く、表情は曇る。そんな石川を東レの先輩でもある小川愛里奈が抱きしめ、ポジションの座を争う井上は近寄って優しく頭を撫でた。
「大丈夫、1人じゃない」とばかりに。
翌日のタイ戦では好サーブを披露
思うような結果が残せず、もどかしさや悔しさは募るばかり。大会期間中はホテルと試合会場の往復が続き、ただでさえ気分転換が難しい環境である。ただ、その厳しい中だからこそ見いだせる光明もあるはずだ。
事実、ブルガリア戦の翌日、タイとの一戦では第1セット終盤、18対20とリードされた状況でリリーフサーバーとして投入された。「少しでも流れを変えようという気持ちで打っている」と言うように、前夜に続き、石川の好サーブから6連続得点。まさに有言実行とばかりに勝利を引き寄せた。
限られた出場機会でも着実に爪痕を残す。そこで自信を得て前進し、もしもまた迷い、落ち込む時が来たら、何なら思い切り現実逃避をして料理の動画を見たっていい。もしかしたら新たな発見を、と求めていた趣味を見つけるきっかけになるかもしれない。まず始めは、ブロッコリーのおいしいゆで方からでも。
無理に笑わずとも、自然に満面の笑みがこぼれる時がきっと来る。東京五輪の失意の涙から、はじける笑顔に変わった今大会の韓国戦のように。新たな壁を越えれば、またもっと、強くなると信じている。
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