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女子バレー石川真佑「趣味を持ちたい」その理由は? 好調8連勝の眞鍋ジャパンの中で22歳アタッカーが苦しむ“新しい壁”とは?
posted2022/06/20 17:00
text by
田中夕子Yuko Tanaka
photograph by
AFLO SPORTS
ネーションズリーグで負けなしの8連勝。参加する全16カ国の中で無敗は日本だけ。堂々の首位発進——女子バレー日本代表の快進撃が続いている。
5年ぶりに指揮を執る眞鍋政義監督や主将の古賀紗理那だけでなく、試合後のインタビューでは選手たちが口々にそれぞれの課題や収穫と共に「雰囲気がいい」と笑みを浮かべる。
予兆は、大会前から見えていた。
5月12日から20日まで鹿児島・薩摩川内で行われた合宿は、間もなく始まるネーションズリーグの選考を兼ねたものではあったが、ウォーミングアップ時から笑顔が絶えなかった。セットごとにメンバーを替えて臨む実戦形式の際は当然ながら表情に厳しさが増すものの、雰囲気の良さは存分に伝わってきた。
中でも印象的だったのが、合宿中に22歳の誕生日を迎えた石川真佑の笑顔だった。
同級生も心配するほどの「無趣味」
「今年こそ趣味をつくりたいんです。大人の女になるなら、やっぱり料理ですかね?」
小学生からバレーボール一筋。中学、高校で全国優勝を経験し、高校卒業後の2019年にはU20世界選手権、さらに他国はシニア代表が出場する中、若手主体で挑んだアジア選手権でも優勝。日本代表にも選出され、ワールドカップと昨夏の東京五輪にも出場した。華々しい戦績は増える一方だが、「バレーボールがなかったら何をしていいかわからない」と言うのもあながち冗談ではない。そう断言するのは下北沢成徳高の同級生で、共に東レへ進んだ野呂加南子だ。
「コロナ禍でリーグ中だけでなく、私生活から徹底して感染予防に努めてきたので、みんな基本的に寮の部屋から出ないんです。でも部屋で好きなアーティストのライブを見たり、みんなそれなりに楽しみ方を見つけていたけど、真佑は全くない。下手したら、部屋の中でひたすらストレッチして、バレーボールの映像を見ていたんじゃないか、って心配するぐらい無趣味。面白いエピソードが何もないのが、真佑の面白さなんです(笑)」
趣味にするならば料理を、と挙げる割には「ヨーグルトとブロッコリーがあれば十分」と話し、食は堪能するものではなく栄養を摂取するものという発想しかない。そんな22歳が「趣味を持ちたい」と欲するのには、年齢を重ねただけでなく、別の理由もある。
「オンとオフの切り替えが下手なんです。だからバレーボール以外にも何か楽しく没頭できるものがあれば、もっと楽にできるのかな、って」