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女子バレー石川真佑「趣味を持ちたい」その理由は? 好調8連勝の眞鍋ジャパンの中で22歳アタッカーが苦しむ“新しい壁”とは?
text by
田中夕子Yuko Tanaka
photograph byAFLO SPORTS
posted2022/06/20 17:00
ネーションズリーグ無傷の8連勝と好調のチームとは裏腹に、新たな壁に直面している石川真佑(22歳)
明るい表情で練習に臨んでいた薩摩川内の合宿中も、楽しさの中に時折、不安をのぞかせた。
「コンディションがあまり上がってこなくて。ここから徐々に上げていけばいい、と思う気持ちもあるんですけど、周りを見るとすごい選手ばかりだから1つ1つを見て、うわーすごいな、と思うし、『負けたくない』と思っちゃうから、割り切っているつもりでも、割り切れない。1回結果を出せれば変わるのかな、って思うんですけど、なかなか難しいですね」
切り換える必要性を嫌と言うほど痛感させられたのが昨夏の東京五輪。グループリーグ第4戦の韓国戦だった。
互いに負けられない一戦で2セットずつを取り、迎えた第5セット、14対12。マッチポイントに到達した1点は、石川のスパイクから生まれたものだった。
あと1点を取れば、決勝トーナメント進出に大きく前進する。何が何でもとる。その気負いが、裏目に出た。
「自分も周りも、あそこは“絶対獲るんだ”と思う場面だったので、そこで逆に迷いが出ました。中盤まで中に切り込む攻撃が効果的だったので、中に入ろうか。でも相手も対応してくるからストレートに出そうか。結局、考えすぎて中途半端になってしまいました」
「大事なところで勝ち切れない」
目の前にいるのはセッターで、ブロックは低い。フォローすべく相手のミドルブロッカーが寄っているのもわかったし、それでも中に切り込んで打つか、当てて出すのか。気づかぬうちに、自分がどうやって決めたい、ではなく、相手の出方ばかりを意識するあまり思い切りを欠いた。
「振り返ると、今までは追い込まれた時ほど無心でした。相手がこうだから、とか何も考えずにできていたけど、今は意識しすぎると力が入ってしまって、いつも打てるスパイクが打てなくなってしまう。オリンピックだけじゃなく、東レでもそうなんです。決めなきゃ、と思えば思うほど力んで、大事なところで勝ち切れない。どんどん自分を追い込んでしまって、苦しくて。でもどうやって切り換えたらいいのかわからない。自分の中でごちゃごちゃして、ずーっと、そういう感覚が続いている気がします」