「南米では敵がいないと言われる選手とやる機会はなかなかないし、しかも向こうからやりたいって言ってくれたのがうれしくて、すごく気合が入った試合です。計量オーバーについては、体重が落ちないことは僕は仕方ないかなと思ってるんですけど、その後の態度（記者会見でこれ以上の減量は無理だと主張）とかは、こっちはきっちり落としてきてるんだから、そういう態度はしちゃダメだ、って思いますよね。まあそれは試合で分からせるしかないですね」

「僕の力はまだ40％くらいです」

　ウエイトが上の選手でも引かないのは、空手での経験が大きい。学年でのカテゴリとなる空手では体の大きい選手とも戦わなければならなかったからだ。

「アマチュアでも10kgぐらいの差は普通にあって。プロで初めて試合したときは、相手は大人でしたけど、階級が一緒だとこんなに戦いやすいのかと思ったほどです」

　向かうところ敵なしの那須川だが、「僕の力はまだ40％くらいです」という。吸収できるものは何でもしようとしている。

「ここ3～4年、体幹は鍛えてきてましたが、筋トレはしたことがないし、そういう意味でも伸びしろはまだある。MMAの練習もはじめは試合が組まれたので始めたんですけど、やって損はなかった。キックに戻ったら間合いの取り方が楽になったし、MMAってタックルが来たり、関節技があったり、色々なところまで集中しないといけないので集中力の強化にもなりました。あと、僕は瞬発系なんですけど、MMAは耐える系（持久系）。全身の筋肉を使うのでいいトレーニングになります」

　さらに、最近では帝拳ジムでボクシングの練習も始めた。

「ジャブ、ストレート、フック、打ち方から構えまで教えてもらって。いつもだとパンチから蹴りにつなげるとか、そういう練習なんですけど、ボクシングはずっとジャブだけやったり、パンチの積み重ねが大事で。ボクシングジムに行き始めてからは練習の質もパンチの質も変わりました」

　世界王者との接触も大きな刺激になっている。なかでも尊敬するのは、元WBC世界バンタム級王者の山中慎介だ。

「山中さんの得意技であるストレートって、絶対相手も研究して、警戒している。それでもあれだけ当てられるんです。あんな人はなかなかいません。僕もストレートが得意なので、山中さんが当てるなら僕も絶対当てられるはずだって気合が入ります」

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