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[ボクシング博士が見たドネア2]村田諒太「圧倒的KOとドネアの“異変”」
posted2022/06/16 07:02
text by

二宮寿朗Toshio Ninomiya
photograph by
Naoki Fukuda
勝負は、井上尚弥選手が1ラウンド終了間際にダウンを奪った右クロスで、事実上、決まったと言っていいでしょう。ノニト・ドネア選手も打ちに行っていたため、井上選手のパンチが見えておらず、強烈なクロスがテンプルにモロに入りました。
あの大きなダメージを、ラウンド間インターバルのたった1分間で回復させるのは難しい。それほど十分な破壊力を持った一撃でした。
ただ、その後、井上選手が警戒心を緩めることはありませんでした。ドネア選手は前回の対戦でも、劣勢に立たされた後も左フックの一発を狙い続けてきましたから。
実際に拳を交えた井上選手本人がどう感じていたかはわかりませんが、もしドネア選手のパンチに前回のような重さを感じていなかったとしたら、「最悪、相打ちになってもいい」と思えるので、カウンターを取りやすくなったのではないかと思います。
2ラウンド、井上選手は開始30秒ほどで、ドネア選手を左フックでぐらつかせます。詰め方も素晴らしく、相手を仕留めていく流れが完全に出来上がっていました。そして1分20秒過ぎ、連打でコーナーに詰め、左フックでダウンを奪い、レフェリーが試合を止めてTKO勝利となったわけです。まさに、成るべくして成った2ラウンドKO勝利でした。井上選手の今の実力が、思う存分出た試合だったと思います。
こちらは雑誌『Number』の掲載記事です。
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